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龍の姫・中編

 私がやったことはとんでもなくシンプルなことでした。父の言葉の通りにやることをやった、と言うと父のいいなりにやったというイメージが強くなりますが、簡単に言えばそういうことです。広告塔。それが私の役割だったのですよ。

 私は何とかして人の故郷を復活させようとした。しかしながら父は私の意見など聞くことなく、父が思い描くプランに沿って行動を進めていった。別に問題無いではないか、なんてことを言われるかもしれない。けれど、私にとってはその出来事は致命的だった。

 『致命的』の意味が理解できない、だと?

 まあ、そう思うのも致し方あるまい。実際問題、そういう考えを持っていたのは私だけだったから、冷静に考えてみればそんな穿った考えだった私こそ致命的だったのではないかと考える時もたまにだってある。

 解釈を良くするならば、先ずはその否定的な考えをどうにかしたほうが費用対効果が高いかもしれない。

 なにせ、予算的にはまったくかからないのだからな。

 問題はある。無いということは無いはずだ。

 それは、龍によってどこまで復活を推し進めていいのか、ということだ。

 復活を一方的に推し進めたところで、人間が定着して我々と共存出来なかったら何の意味を持たない。それこそ龍たちの間で文字通り戦争が勃発することだろう。それははっきり言って、最悪の結末だ。

 その結末に陥らせないために我々が推し進めている『復活計画』はどうしても実現させねばならなかった。

 しかして、人間の規模のものを龍がそのまま直すことが出来るかと言われると難しいところだ。回答に悩む、と言ったほうがいいかもしれない。

 何故ならば、龍と人間のスケールの違いが大きいポイントになる。人間は大きくてもせいぜい一マムドラ。だが我々は十マムドラ……ちょうどスケールが十倍違うのですよ。人間で言うところの『メートル』とやらに合わせれば、一マムドラは二メートルと言ったくらいでしょうか? 私は人間のことをあまり勉強したくないですが、このように話をする時は人間のスケールで話したほうが理解してもらえますからね。

 ですから、先ずは我々が人間の大きさに姿を変える……『擬態』する必要がありました。それによって、少なくともスケールは一致します。人間がどのように考えているかどうかまでは解りませんが……、それでも計画を進める上では大事な一歩です。擬態出来るのはすべての龍が出来るのですが、より人間に近い姿になるには雌龍である必要があります。雄龍でも擬態出来ますが、若干龍の名残が残ってしまうのですよ。

 ……私も龍の名残が残っている、ですって? 確かにその通りです。しかしながらこれは私がまだ幼いからだ、と言えるでしょう。

 何が言いたいのかと言えば、簡単なことです。確かに擬態はどの龍でも出来ます。しかしながら、人間への完全擬態が可能なのは、大人になった雌龍のみ。それ以外は完全擬態を行うことができません。

 ……だからといって、この完全擬態が役立つかといわれると微妙ですが。

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