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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード43(シーズン3 エピソード14) 『お雑煮』
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鏡餅とお年玉・承

 年越し。

 簡単にいえば、クリスマスから大晦日、そして正月までのおよそ一週間余りの、いろいろてんこ盛りとなった行事群のことを言う。

 そして、今日は一月二日。その正月の二日目だ。普通ならお年玉を貰ったりおせちを食べたりするのだろうが、それは必ずしも全員じゃない。

 大晦日は一年の最終日。もともと、晦日というのは一月の最終日のことを言っているから、それから展開した言葉と言えば解るかもしれない。

 そして、この日は除夜と言われていて、早く寝てはいけないといわれている。除夜の鐘は煩悩の数、百八であるが何でそうなのかは調べないと解らない。

 まあ、専門家ではないからそこについては許してもらいたいところではある。というか、メリューさんたちに詳しく説明したところで、逆に理解してもらえない可能性が高い。情報開示も適切にしないと意外とコントロール出来ない。それはボルケイノに勤めてよく経験したことだった。

 そういうわけで、俺はその後ある程度情報を整理した状態で『年越し』について教えることとした。まあ、とはいってもそこまで情報を公開しないというわけではない。


「……お年玉!」


 俺が年越しについて話し終えて、シュテンが言ったのはその一言だった。

 それを聞いたメリューさんは頭を抱えていた。まあ、想像通りではあったけれど、それをいわないと何も始まらないことだし、それについてはメリューさんに丸投げすることにしよう。

 はあ、とメリューさんは深い溜息を吐き、


「……それについても、やっぱり異世界の話というのは興味深いものね。ところで、ひとつ気になるのだけれど、その鏡餅というやつを見てみたいのよね。その……段になった餅と、蜜柑という果実を載せているのよね? それがとても見てみたい。百聞は一見に如かず、ってあなたの国の言葉にあるらしいし」


 メリューさんは目を輝かせながら、そう言った。


「はあ……。鏡餅、ですか。でも、今は売っているかどうか解りませんよ? だって、正月真っ盛りだからスーパー……お店がやっているかどうか解らないし、何しろ在庫も未確定ですから」


 俺はあくまでも『やりたくない』とは言わないようにそう言った。


「それでもいいわよ。見つからなかったら、ケイタの持っているスマートフォン? とやらでも見ることができるんじゃないの? だって、世界の様々な資料がその手のひら大の箱で見ることが出来る、ってこの前言っていたわよね。だから、それはあなたに任せるわ」


 最近のメリューさんは、俺が休憩中に色々な知識を教えているからか、どうも『異世界かぶれ』が出てきている。もともとどの異世界でも簡単に交流出来るから、それについては別にどうでもいいのかもしれないけれど、時たまに、これは世界の摂理からして問題無いのだろうか。そんなことを考える時がある。

 でも、今はそれでいいのかもしれない。

 いずれにせよ、いつかは別れがやってくると思う。一度は俺がそれを制したが、もし同じような事態が起きたならば、また同じようにそれを止めることが出来るのだろうか?


「……ケイタ、どうした? 急にフリーズしたりして」


 メリューさんの言葉を聞いて、俺は我に返る。


「ああ、すいません。少し、考え事をしてました。……鏡餅、ですよね? 取り敢えず、休憩の時に買ってきますよ。どうせ時間軸的には数分もかかりませんよね?」

「ええ、たぶん。数分どころか数秒ってレベルかもしれないけれど」

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