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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード41(シーズン3 エピソード12) 『もつ鍋』
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冬の風物詩・前編

「寒い!」


 その日は、そんな怒り心頭のメリューさんの言葉から始まった。

 確かに隙間風が入ってくるというか、どこか肌寒い感じがする。何でこんなことになっているのか全くもって解らなかった。そもそもの話、ここは確か他の世界とは全く違う異世界のはずだから、温度や気候なんて関係ないはずではなかったのか。


「それなんだけどね……そのシステムが故障しちゃったらしいのよ。ガタがきたのかもしれないわね……。それに、あのシステムは魔術で作られているから私たちのような魔術に明るくない存在がやったところで直るはずが無いのよ。ってか、寧ろ悪化する」

「……だったら、誰か直せる人を呼ばないと……」

「それは今、リーサが何とかしているから。……まあ、それでも半日くらいかかるらしいけれど」


 それじゃあ、あと半日はこの寒さがつづくのか。……うーん、正直それは拙い気がするな。生憎まだお客さんが来ていないから良いけれど、お客さんが来たら大変なことになってしまうだろう。寒すぎて、飯なんて食えるか! なんて言われたらそれまでだ。

 そんなことを考えていたわけだが、それについて提言したのはメリューさんだった。


「……あら、もうお昼になるのかしら」


 時計を見ると確かに十二時五分前。結局午前中には誰もお客さんが来なかった、ということになる。

 まあ、いつものことではあるけれど。

 そんなことを思っていると、メリューさんが何か土鍋を持ってきた。


「それじゃ、今日は暖かい昼ご飯としましょうか」

「鍋……ですか?」

「ええ。いい具材が手に入ったから、使ってみようかと思って。ヒリュウさんも、なかなか珍しいものを持ってきてくれたものね」


 ヒリュウさんが持ってきた、ということは羊関連ということか。羊肉とか? となると、鍋の中身は羊を使った鍋……ということになるのだろうか。うーん、羊肉自体独特な臭みがあって好き嫌いがあるというけれど、食べることが出来るだろうか。

 そんなことを考えていた俺だったが、メリューさんがテーブルにクロスを引いて、それを置いたとき、こんなことを言った。


「ああ、そうだった。ケイタにサクラ、お前たち……内臓は食べられるか?」


 ……まさかのもつ鍋だった。

 もつ鍋。

 ふつうは牛や豚の内臓をニラやキャベツなどの野菜と一緒に煮込んだ鍋である。味付けは大抵醤油ベースの味が多かったはずだ。それに、唐辛子などを入れて臭みを消すパターンもある。さっきも言ったけれど、かなりもつ自体独特な香りがあるわけだし。

 嫌いな人も居るけれど、好きな人はとことん大好き。それがもつの魅力かもしれない。

 ……それにしても、内臓まで食べるのはきっとあの世界でも俺たち日本人くらいなのだろうけれど。

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