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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード34(シーズン3 エピソード5) 『プリンアラモード』
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羊使いとプリンアラモード・2

「あら、あなたたち。ヒリュウさんに会いに行くのかい?」


 声の聞こえた方向に振り向くと、そこにはお店があった。野菜や肉、嗜好品など雑貨を売っているお店のようだった。


「ええ、そうですけれど……」

「だったらちょうどいい! これをヒリュウさんに持っていてくれないかい? ヒリュウさんに渡すのを忘れてしまってねえ。いつもならこの時間にやってくるのだけれどすっかり遅いものだから。……風邪でも引いているのかしら」


 溜息を吐いてそう言ったのは割烹着を着た恰幅のいい女性だった。おそらくこの店の店主なのだろう。

 女性が渡したのは白い風呂敷に包まれた何かだった。それが何であるか俺とリーサには解らなかったが、頼まれたことは引き受けるに越したことは無い。

 風呂敷を受け取って、俺とリーサは町を後にするのだった。ゆっくり歩けば三十分はかからないだろうが、しかし山道を歩くことになる。俺はいいけどリーサはあんまり体力の無い印象があるし、こりゃいつも以上にゆっくり歩かないといけないだろうな、その時はそんなことを思っていた。

 ところが、実態は逆だった。


「……ケイタ、休みましょうか?」

「ふう、ふう……。う、うん、そうしようか。それにしても、体力があるね、リーサは。ちょっと想像と違って驚いちゃったよ」


 そう。

 今ここで話があるように、俺の予想とは大きく違うものになっていた。確かに俺はこの山道を数回上り下りしていた。だからこそ、昇り切れるという油断があった。そして、その油断に見事にはまった。

 今はというとリーサが俺より少し前に行ってちょうど座り心地のよさそうな岩を見つけたのかそこに腰かけて俺を待ち構えている状況だった。

 俺は荷物を持っているからその分がある――と言ってもそれはただの言い訳に過ぎなかった。そんな言い訳が通るとは思っていないから省くことになるとは思うけれど、それにしたってこれは酷い。もっと体力をつけないといけないな、と俺はその時実感した。

 漸く岩場に到着して俺はリーサの隣に腰かける。

 リーサは自分で持ってきていた水筒からお茶を飲んでいた。俺も飲もう、そういえばのどが渇いていた。

 水筒を開けると冷えているお茶が未だ温度を保っていた。有難い。身体が火照っている以上、このように冷たいものはかなり嬉しい。

 そう思いながら俺はお茶を一口飲む。口の中に冷たいお茶が入っていく。それは喉、そして胃に流し込まれる。きっと胃もびっくりしていることだろう。これほど冷たいお茶が流し込まれているのだから。


「……荷物、持ちましょうか?」


 リーサの問いに、俺は首を横に振る。

 そこまでしてもらうのは、流石に男が廃る。


「いや、大丈夫だよ。別にあと半分も無いから、さ。……それにしても、これはいったい何が入っているんだろう?」

「メリューさんに聞いていないの?」


 そういえば、メリューさんに中身を聞こうとしたけれど、「到着するまでのお楽しみだ」としか言わなかったような気がする。これは、ヒリュウさんへのお土産なんだよな? なぜ配達する俺たちも知らないってことにするのだろうか。まあ、メリューさんはこういうことが好きだから……、仕方ないのかなあ……。

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