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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード30(シーズン3 エピソード1) 『かき氷』
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海の家とかき氷・3

 ちなみにメリューさんは海の家の食事についてあっさりと了承してくれた。どうやら海の家の食事がどのようなものなのか調査をしたいとのことだった。別にそれは構わないのだが、そんなたいそうなものは出ない。それが海の家の常識めいたものだ。きっとそれは世界が変わっても変わらないことなのだと思う。

 海の家に入り、俺たちはテーブルに腰かける。


「何を食べたい? 取り敢えず、注文してくるよ」

「ならばなぜ座った?」

「……席を取っておかないとダメなんだよ。もし席が無い状態で注文をしてみれば解る話。地べたに座るか、立食パーティを開くしか方法は無い。それを防ぐために『キープ』している。そう言えば、言葉の意味を理解してくれるだろう?」


 そう言ったらメリューさんは何も言わなくなった。暴論かもしれないけれど、納得してくれたなら何よりだ。

 はてさて、本題に戻ることにしよう。


「暑いし……冷たいものでも食べることにしよう。ちょうど美味しい食べ物を知っている。冷たくて、美味しい食べ物を……」

「それってまさか……」


 同じ日本人のサクラだけが、意味を知っている反応をしてくれた。

 そう、俺は発見してしまったのだ。この海の家には『あの料理』があるということに……!

 そう思って、俺はカウンターへと向かう。

 数分後、その料理を持ってきた俺を見てサクラを除くボルケイノの面々が驚いたことについては――まあ、言うまでもない。



 ◇◇◇



「これは……カキゴオリ、というやつよね……?」

 メリューさんの言葉に俺は小さく頷いた。

 そしてメリューさんは俺の言葉を聞いているのか聞いていないのかはっきりとしないけれど、その白い山を眺めていた。

 かき氷。

 それは氷を細かく砕いたものにシロップをかけた夏の風物詩と言ってもいい食べ物だった。

 しかしながら、それはあくまでも日本だけだと思っていた。まさかこのような異世界でもかき氷があるとは、思いもしなかったのだった。


「……まさかこんなにおいしいものがあるなんて」


 既にシュテンは食べ始めているようだった。うん、美味しいと言ってもらえて何よりだ。これを夏に食べないと何だか夏って感じがしないからな。これはほんとうに素晴らしいものだと思う。

 メリューさんは恐る恐るという様子だったが、軈てゆっくりと一口放り込んだ。


「……なにこれ。口の中でとても冷たくて……、美味しい……!」

「初めて食べた感じですか?」


 俺の質問にゆっくりと頷くメリューさん。知識があっても実際に食べた経験は無い、ということなのだろうか。

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