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(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~  作者: 巫 夏希
エピソード30(シーズン3 エピソード1) 『かき氷』
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海の家とかき氷・1

「暑い」


 もとはと言えば、メリューさんが休憩中にそんなことを言い出したのが始まりだった。

 なぜか知らないが、今ボルケイノのある世界は猛暑になっていた。もともとそのようなことは無かったはずだし、ヒリュウさんも「ここは避暑地のようじゃわい」と言っていたはずだった。

 にもかかわらず、この暑さには理由があるらしい。

 ティアさん曰く、


「この世界は特殊な魔術機構で管理されています。作ったのは私でも私の父でもなく、ドラゴン族に近しい立場をとっていた大魔術師でした。その魔術師も随分と昔に死んでしまったと言われていますが……、ですから、その、修理が出来ないと言いますか」


 とどのつまり、温度調整機能エアコンが馬鹿になっているということだった。

 とはいえ、そんな問題で解決できる話ではなく、簡単に説明すれば今のボルケイノは砂漠か或いはサウナそのものだった。

 そんな場所で冬服仕様のメイド服を着用しているメリューさんたちにとって、今の暑さは地獄そのものと言えるだろう。


「食材もはっきり言ってダメになってしまうわね……。そちらはまだ壊れていないとはいえ、メインテナンスが出来ない以上時間の問題よね……」


 メリューさんは溜息を吐いて、俺に目線を向ける。

 俺に目線を向けたところで何が変わるというのか。あれか、電気が無い空間でエアコンを導入しろ、と? 確かにあれなら何とかなるかもしれないが、ただ業者をここに入れて作業をしてもらうことになるから、ボルケイノの存在が広く日本社会に公になってしまうかもしれない。はっきり言ってそれは避けるべきだと思うのだが。


「魔術機構、ですか。気になりますね」


 唯一違う反応を見せたのはリーサだった。やはり魔女という建前、そちらが気になる様子だった。確かに『魔術』機構と言っていたっけ。だったら気になっても致し方ない。

 それを見たメリューさんはリーサに目線を向ける。


「……あー、そういえばあなた魔女だったわよね。直すことって可能?」

「うーん、どうでしょうね。見てみないことには解りませんが、魔術機構の基本なら理解しているつもりですので、簡単なものであれば、或いは私が理解することが出来れば修理することも可能だとは思いますが」

「可能ではなく修理してほしいのよ。可能性の話じゃない。出来るか、出来ないか。オーケイ?」

「とはいえ、先ずは見てみないとはっきり言えませんよ。流石に『出来ない』ものを『出来る』とは言えません。魔法だって何でもできるものじゃないんですから」


 それもそうだ。

 しかしメリューさんはあまり魔法・魔術に対して深い知識を持ち合わせていないのか(そもそも魔術と魔法の違いってなんだ? まあ、それは追々聞いてみてもいいかもしれない)、無理難題を突き付けている。まるで無茶な注文をするクライアントのようだ。……まあ、俺の知識はドラマやアニメ、漫画の受け売りに過ぎない話だけれど。

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