表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/254

エピローグ それでは皆様、またどこかで

 ドラゴンメイド喫茶、ボルケイノ。

 世界に一つしかない、稀有な喫茶店だ。

 今日も今日とて、お客さんは羊使いのヒリュウさんだけ。

 新人メイドのシュテンがヒリュウさんに頭を撫でられている。


「ほほう……。鬼のメイドとは珍しいのう……。伝説でしか聞いたことがないから、まさか本物をみることができるとは思わなんだ。生きてみるものだ、ほっほっほ」

「ちょ……。角を触らないでください! さすがに角を触られるとちょっと……」

「こら、ヒリュウさん。シュテンちゃんが嫌がっているでしょー」


 そう宥めたのはサクラだった。

 隣にはじっとヒリュウさんを睨み付けるウラの姿も見える。


「おっと、そいつはすまなかった。ごめんなあ、シュテンちゃん。ちょっと面白かったのでね、興味があった、とでも言えばいいかな? いずれにせよ、悪気はなかったんだ。許してくれないかな」


 ヒリュウさんの言葉に、シュテンはゆっくりと頷く。ちょろい。


「お待たせしました、ヒリュウさん。プリンアラモードです」


 そう言ってリーサはプリンアラモードをヒリュウさんの前に置く。


「ひひっ、これだよ、これ! これを食べないと一日が始まった気がしないねえ。何というか、元気が湧いてくるよ」


 そう言ってスプーンを手に取りプリンを一口頬張るヒリュウさん。その姿はスイーツに歓喜する女子にも見える。

 まあ、その俺はいまカウンターで洗い物をし続けているわけだけれど。

 それにしても……人が増えたよな、この店も。

 少し前まではメリューさんとティアさん、それに俺。三人だけだった。

 それが、サクラ、リーサ、シュテンにウラと四人が増えて今や七人になった。まあ、シュテンとウラはまだ研修中であり、今は店の裏に住んでいるらしい。まあ、メリューさんとティアさんもそこで住んでいるので一緒に暮らしている、ということになるのだろうけれど。


「……それにしても、少年。おもしろいなあ、女性ばかりの喫茶店に君一人が男か」


 ヒリュウさんが俺にそう語りかけた。見るとさっきまで居たシュテンたちが厨房に消えていた。

 ヒリュウさんはそれを狙って俺をからかっているのだろう。


「……正直、幸せに見えるなあ。わしも是非その中に入りたいものだよ。ところで少年、何か面白い話はないかね?」


 そういわれたので。

 俺は笑ってこう返した。


「この店で働いていると、そういうことばかりですよ」






 ドラゴンメイド喫茶、ボルケイノ。

 そこは世界唯一のドラゴンメイドが営む喫茶店である。人間の店員に、鬼の店員、はたまた魔女まで居る。

 もし君が周囲と雰囲気の違う木製の扉を見つけたのなら、その扉を迷いなく開けてみるといいだろう。

 その扉はおそらくボルケイノに繋がる扉になっているだろうから――。


(ドラゴン)メイド喫茶へようこそ! シーズン2 終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ