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鬼の少女と悪の組織・4

 パーティー会場の入り口に到着するまで、誰とも出会わなかった。

 いや、それについては別に問題ないと思うのだけれど、問題としては一つだけ。どうして、テロ組織の亜人が一人としていないのか、ということについてだ。もし全員パーティー会場に居るというのであればそれ以外の場所が手薄になってしまう。それでいいのかどうか解らないが、もし私がその立場ならば会場以外にも満遍なく人員を配置するはずだ。

 それなのに人員を配置しないということは、何か組織に致命的な問題があるということだ。


「……もしかして、人員があまりにも少ないのかな」


 リーサの呟きに私は首を傾げる。


「いやいや、流石にそれは無いだろう。ここを狙うということは前々から亜人会議がここで起きることを知った上での計画的犯行だといえる。にもかかわらず、人員が足りていない? きちんと準備していなかったのか、ということになる。裏を返せば、準備をしていないとおかしい。だから、リーサ。油断せずに行くぞ」

「それくらい解っているよ。……で、どうすればいいの? さっき言っていた作戦で行くとは決まったけれど……それで何とかなるとは思えないのだけれど」

「大丈夫だ、私に任せておけ。会場の中がどうなっているのかは定かではないけれど……きっとそれでうまくいくはずだ」


 さあ、テロリストよ。観念しなさい。

 私の作った料理を無駄にして、無事で済むとは思わないことね。



 ◇◇◇



 時間があまりにも長かったため、気づけばシュテンと俺は少しずつではあったけれど、会話を交わすようになっていた。それでもその会話は他愛のないものばかりではあったけれど、それでも進展したといえるのではないだろうか。

 もしかしてこれがストックホルム症候群、というやつなのだろうか――なんてことを思いながらも、俺はさらにシュテンと会話を続けていた。会話をしていくたびに向こうにいるウラが睨みつけてくるのだが、それについては無視しておけばいいだろう。攻撃してこないところを見ると、別にどうだっていいということなのだろうし。或いは、攻撃をすることなんて毛頭考えていないのかもしれないけれど。

 それはそれとして。

 メリューさんはもしかしてこちらにやってきているのだろうか。ざっと見た感じ、捕まっている亜人の中にメリューさんとリーサが居ないのでおそらく捕まっていないのだろうけれど、とはいえやはり気になる。まあ、たぶん何とかなると思うけれど。メリューさん、結構強いし。

 そんなことを考えていて――そろそろ会話の話題も尽きてしまったのでどうしようかと考えていた、ちょうどその時だった。

 ウラが居た場所にあった扉が、内側に爆発して吹き飛んだ。

 ウラは扉に背を向けていたので完全に不意を突かれた形となり――そのまま軽く吹き飛んでしまった。


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