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鬼の少女と悪の組織・3

「……人間。さっきから何が言いたいんだ。お前にそれを語る権利など――」

「ケイタだよ。人間、じゃない。君だって、鬼と呼ばれただけだといやな気分になるだろう?」


 間髪入れずに俺は言った。

 シュテンはそれを聞いて、少しだけ顔を俯かせると――ゆっくりと頷いて、


「済まなかった、ケイタ。これで構わないか?」


 ちょっと涙声になっているけれど、もしかして強く言い過ぎたかな。そうだとしたらとても申し訳ないのだけれど。

 はてさて、この状況をどうすべきか、というところまで考え付いているわけだけれど、残念ながら今の俺の力では抜け出すことはできないだろう。とはいってもここに居る残りの亜人が何とかするか、と言われても微妙なところだと思う。

 理由は俺の向こう――ちょうどパーティー会場の向こうに居るもう一人の鬼の少女だった。赤い着物に身を包んだ少女は、少し気が強そうで、シュテンに似ていた。

 彼女の名前は、ウラと言うらしい。なぜそれも知っているかというと、シュテンがあっさりと会話で暴露してしまっているからだ。まあ、シュテンの名前がはっきりしたのもウラが暴露したからなのだが。

 というか、詰めが甘い。

 幾らグループの名前が知られているとはいえ、あまり痕跡を残さないほうがいいのではないだろうか? 顔も明かされている、そして名前もはっきりしてしまっている。そんなテロリスト、はっきり言ってみたことも聞いたことも無い。俺の世界のテロリストがもう少しいいテロをする気がする。……いいテロって何だよ、というツッコミはさておき。

 シュテンとウラはいったい何が目的なのだろうか。というか、ほかにメンバーは居ないのか。……うん、たぶん居ないのだろう。ほかのメンバーと通信をしている痕跡も見られなければ、時折二人で会話をしているけれど、仲間が居ないことをよく話しているし。それにしてもそれを人質に聞かれても問題ないと思っているのだろうか?

 それはそれとして。

 メリューさんは無事なのかな。

 俺は少しだけ、そんなことを考えるのだった。

 それこそ、自分のことを他所に置いて。




 ◇◇◇


 思わずくしゃみが出てしまった。


「メリュー。どうしてこのような場でくしゃみをするのですか。空気が読めないのですか、ケーワイというやつですか。まったく、私が遮蔽魔法を使っているから何とか聞こえた音は最低限に保たれているというのに」

「何それ。そんな魔法を使えるなら早く言ってよ! てっきり炎魔法以外使えないと思って、私静かに話していたじゃない! ってか、何でそれに合わせていたのよ!」

「説明する理由が無かったからですよ。不測の事態に備えてプロテクトをしておくことは大事ですからね」


 大事だけれどさ! ……まあ、いいか。リーサの使える魔法がある程度幅のあることは解ったことだし、それだけでも大きな収穫と言えるだろう。ポジティブに考えましょう。


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