表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/254

鬼の少女と悪の組織・2

「……奴ら、ほんとうに厄介なことしてくれちゃって。どうすればいいのかしら。私も、幾ら何でも現役はもう数年も前のことだっていうのに……」

「どうするつもりですか?」


 リーサの問いに、私はシンプルな解答を示す。

 簡単よ、そんなこと。潰してしまえばいい。このテロ行為を、潰してしまえばどうということはない。


「……何というか、メリュー。あなたは性格が歪んでいるわよね。まあ、別に問題ないのだけれど。いずれにせよ、私も攻撃しないといけないのよね」

「あたりまえでしょう。何のためにあなたが居ると思っているの。あなたは魔女でしょう」

「それはそうかもしれないけれど……」


 リーサは溜息を吐く。何というか、彼女はやる気があまり見られないことが多い。だから鼓舞してあげないといけない。それは非常に面倒なことかもしれないけれど、費用対効果のことを考えるとそれがベストである。

 さてと……こちらも行動を示さないとね。

 そう考えて私たちは腰を低くして、走り出した。

 目的地は――パーティー会場。



 ◇◇◇



 どうしてこんなことになってしまったのだろうか。

 俺は今、鬼の少女に首根っこを掴まれている。


「……あの、俺はなぜ」

「黙れ。話すとお前の首を斬るぞ。そうじゃなくてもカリカリしているというのに……」


 なぜ鬼の少女――確かシュテンと言っていた――が怒っているのか。

 それは単純明快。俺がこの世界の人間じゃないと知ってしまったからだ。

 なぜ知ってしまったか、って? 簡単なことだ。俺がそれを言ったから。嘘を吐いておくのも心苦しいし、事態の長期化に繋がりかねない。それを考えるとさっさと行っておいたほうがいいだろう。

 しかし、今はそんなことが関係なく――ただの人質と化している。

 ある意味非常に面倒な選択肢を選んでしまったかもしれない。そう思いながら、俺は再度溜息を吐く。


「……どうして、俺を捕まえたんだ?」

「簡単なことでしょう。人間の国と戦争をする選択肢を選ばせるため。正確に言えば、人間と手を切ってもらうため。今の世界は人間とズブズブの関係になっている。それでは亜人の独立性が保たれない。そのためにも、先ずは人間と手を切らねば」

「だから、強請ると?」


 それを聞いて、シュテンの顔は赤く染まった。


「そうよ! 悪いかしら? そりゃあ、人間の国は平和と言われているからね。私たちの国とも平和条約を締結しているからほぼ戦争は起きない。だから平和ボケしていると言われているけれど、まさかここまでボケが広まっているとは思いもしなかったわ! だから、思い知らせてやるのよ。やつら、亜人の恐ろしさをとうのとっくに忘れてしまっているようだからね!」

「それが、君の目的なのか?」


 俺は、慎重に、かつ優しくシュテンに問いかけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ