変人
仕事が忙しくて、また投稿か遅くなりました。
ダンさんの紹介で、錬金術士のシオンさんに会う日がきました。
「オーイ。魔鉱石を取りにきたぞ。錬金術を習いたいという子も連れてきたぞ」
と叫んでいたけど、返事はない。
ダンさんは、テーブル置いてあった金属のインゴットを取って、替わりにお金と鉄らしき金属を置いていく。
「後は頑張れよ。
俺はこの魔鉱石を剣にするから、シオンの奴もそのうち気付くと思うから待っていろよ」
腰の辺り(ドワーフは身長が低いので)を叩いて楽しそうな顔で魔鉱石を持って出ていった。
オーイ、放置するのかよ。
家の中に一人残されてやることがないので、部屋を見渡すと木材や金属やよく分からないものが隅の方に纏めて置いてあった。気になったので近くにいって見てみると、木材や木の枝や金属や魔石もあるぞ。
あっちにはガラス瓶みたいのもあるから、触ってみたら軽くて透明なので、プラスチックのような感じだけど手触りが違うな。何だろうなコレは。
面白い物があるな。アノ白い布は何かな。触ろうと近づこうとすると甲高い声がしたんだ。
「それは、普通の綿の布地だよ
。君は泥棒にしては大胆不敵だな。
僕に何か用があるのか?それとも何か面白い物があったのか」
声のした方を見ると、ダボダボのシャツとズボンの上に白衣を纏った人がいた。
髪は金髪で、ボサボサで長さは前も後も肩より下くらいまで伸びている。
いやいや、髪を切ってない感じだし、手入れもしていないようだな。
肌は白く日に焼けてないので綺麗なようだ。
顔は分からない。
だって、髪で殆ど隠れているしマスクもしているだもん。
「スミマセン。あのダンさんの紹介で、錬金術を習いたいアムルートです」
慌て応えた。
「ああっ。そういえば、そんなこと言ってたな。錬金術のスキルを持っているの?
興味があるだけでも見ていっていいよ」
「興味があったので、伺いました。錬金術のスキルは持ってないけど、どういう訳が出来る気がするんです。」
「錬金術は感覚が大事だからね。目覚めるのか?
錬金術のスキル持ちはなかなかいないし、見せることで覚醒させる可能性があるかも。」途中から小声でぶつぶつ言いながら、ウロウロ俺の前を歩いている。
研究者タイプだけど、ヘルムート兄さんの上をいくな。それに声が男性にしては甲高く、女性ならハスキーボイスでいけるかな。
性別は分かりにくいな。
言い方や僕と一人称を使ってから、男として対応しよう。
「あの~もしもし。聞こえてますか?シオンさん。大丈夫ですか?」
呼び掛けても返事はない。どうしようかな?
独り言というか、十分に喋っているレベルだな。
よし。気を取り直して大声で名前を呼んだら、こっちの世界に戻ってくれた。
良いこと思い付いたような楽しそうな顔(顔は見えないけど…)でこっちを見詰めている。
「すまない。うん。
そうだな。まずは、錬金術を見せよう。錬金術は錬金魔法というのが正式でね。理論はあるけど、一人一人で同じ材料でも数や効果がバラバラだから、出来ると思うこと、出来るという感覚が大事なんだ。簡単なやつを今から見せるから出来そうと気がしたら、遠慮なく言ってくれ」
と嬉しいそうな声で言ってきたよ。これは俺で実験が出来るということが嬉しいだな。
テーブルにヒュロレラを置いた。
俺のアダ名をバカにする気か。まさか、この世界でもアダ名のイジメがあるのか?
「まずは、簡単な紙を錬金術で作ってみよう。紙の作り方は知っているかい?」
あっ。アダ名をバカにすると思ってた。
被害妄想が酷かっただけか。
疑ってゴメンナサイ、シオンさん。
「はい。分かります。」
「じゃあ。よく見ててね。
錬金 」
手をかざして、一言いうと同時に光ったらテーブルのヒュロレラか和紙に変化していた。
何故か。どういう手順で変化したかは分からないけど、出来そうな気がした。うん。見ただけで、出来る自信があるぞ。
そんなことを考えていると、変な笑い声聞こえてきた。
「クックックックッ。
そうか。そうか。
うん。君はヒュロレラがアダ名かな。変な反応したから、何故かと思ったよ。
冗談はこのぐらいにして、その顔は出来そうでいいのかな?」
テーブルにヒュロレラを置きながら確かめるようにこちらを見詰めている。
それに俺は頷いて、深呼吸をした。
「錬金」
紙の作り方を頭で考えながら短く詠唱をした。
シオンさんの時とは違いヒュロレラがバラバラになって繊維の状態になって、繊維が絡み合いあって紙が出来上がった。
アレ。
紙も違うようだな。和紙と云うよりは、コピー用紙が出来ました。
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