家族会議
スキルレベルはlevelで、強さを表すレベルの時をレベルと表記しています。
ヘルムート兄さん(14才)が、中級迷宮から帰ってきました。
「アムル。
もう大丈夫そうだな。
しかし、随分と背が伸びているな。この調子だと、今年中には抜かれるかもしれないな」
笑いながら、肩を叩いて励ましてくれた。
まだヘルムート兄さんの方が10cmは高いが、兄さんが170cmくらいだから、わずか1ヶ月とちょっとで20cm近く伸びたことになる。
しかも、まだ止まる気配なさそうだ。
それにしてもヘルムート兄さんは、普通の人よりレベルが高いから手加減しても痛いよ。
今回の成果は、仲間の鎧の修理代でトントンだそうだ。
ヘルムート兄さんと雑談していると両親が部屋に入ってきた。「ヘルムは、活躍しているようだな。みんながお前のことを誉めていたぞ!!
レム達がすぐに来るだろうから、もうちょっとだけ待っていてくれ。
急な呼び出しをして、すまなかったな」
と父親の方から、声をかけながら、椅子に座った。
皆が集まるのは、俺が原因です。
村の調査が先日終わったので、父親に将来について話があるからと言いにくそうに声をかけたんだけど、こっち話の聞きもしないで、急に父親が難しい顔をした。
そして、考え込むように黙ってから、家族全員で話し合うことにしようと言った。
今日のこの場になったんだ。
俺が農業をやることは、家族会議を開く程のこと重要ことには思えないけど、親が心配してくれているだなと感謝することにした。
レムルート兄さんと何か心配そうにしているアマレーゼ義姉さんが、部屋に入ってきた。
皆が丸いテーブルの席についた。家族会議の始まりだ!!
「よし。全員揃ったな。
今日は、アムルの将来についてのことで集まってもらった。」
父親のこの発言で、俺に視線を向ける。
「アムルが言いにくいと思うから、おれの方から言おう。
アムルは薬剤と商人のスキルがlevel1を持っているから、大丈夫だと思う」
この発言が言い終わったと思ったら、アマレーゼ義姉さんがテーブルに身を乗り出して、父さんにこう言った。
「ちょっと待ってください。
確かにアムル君の方が、レムや私よりもスキルlevelは高いですが…
私達だってがんばっ 」
「アマレーゼさん。
お願いだから、落ち着いてくれ。
アムルには、新しい店をやってもらいたいだ!!」
とアマレーゼ義姉さんの声を遮ってゆっくりとだが力強い口調でいい放った。
アマレーゼ義姉さんは、驚いた顔で正面にいる俺をジッーと見詰めてくる。
ここでキター
ラッキースケベがな。
アマレーゼ義姉さんは、テーブルに身を乗り出しているので、服装はゆったりとしたものだからを胸の谷間やもう少しでその先が見えそうだね。
男だからウレシクナイとはいえば、嘘になるよ。
この場面では無しでいいよね。真面目な話の最中だから、確かに今日はラッキースケベがなかったけどね。
ラッキースケベのことで、頭一杯になってしまっていたが、知らないうちにいつの間にか薬屋になることになっている。
ヤバい。ヤバいぞ。
冗談じゃない。
訂正しないと、ザンス薬屋の2号店の店長になってしまうわ。
2号店を建てられたら間に合わない。
速く農業をやると訂正しないと逃げられない。外堀を埋められて、身動きがとれなくなる。
「父さん。父さん。
ちょっ ちょっと待ってたら、待ってよ!!
僕はヒトコトも薬屋になりたいとも、継ぐなんて言ってないよ!!
将来について話があるって言っただけだよ。
薬屋も悪くないけど、他にやってみたいことがあるんだ!!」
と叫んだ。
「やりたいことって何なんだよ」
ヘルムート兄さんが聞いてくれた。
「うん。
農業をやってみようと考えているだ」
俺は答えた。
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