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畜生変  作者: 感 嘆詩
30/37

ママス






 ーーーふと意識が甦る。しばらく、シャチと出会う前のあの曖昧な感覚でさ迷っていた。人間と離れるとこうなるのだろうか?



 いつの間にか獣の姿に戻っていて、いつの間にか人の感覚を失っていた。



 何が起きたんだ?たしかみんなでダンジョンとやらに入ったはずだ。




 前方から匂いがした。瞬間、ムチムチが地面を擦るような体勢で現れ剣を掬い上げる。


 俺は獣の反応のままに前足でスタンプして、ムチムチを本当に地面に擦り付けた。


「落ち着け、俺だ」


「む、人語を解するわんちゃんだと!?ちょっと欲しいぞ!」



 モフモフ殴り合いつつ、何とか話が通じたが、互いに大分くたびれてしまった。狭い地下通路みたいな構造内で暴れた為にすっかり蒸し暑く、飲み水代わりに桃やら瓜やらバナナやらを噛った。いや、なんか通路のそこら辺に生えてるのである。理屈はわからないが。


 そして、疲労したまま探索は危険だとかでムチムチが潜んでいた狭い小部屋で一晩明かすことになった。

 まあ、今が朝か夜かもわからないが。


「ここはダンジョンのだいぶん下の階だな!うっかり落とし穴にひっかかったメンバーを突き飛ばして代わりに落ちてしまったのだ!まあ私一人ならどうとでもなるからな。我が王の宝石を傷つけずに済んでホッとしていたのだが」


 とっさに俺があんたを庇って一緒に落ちたと。頭でも打ったのが原因なのか、庇いきれずに落ちた先ではぐれ、畜生に戻ったのが原因なのか、そこらへんのエピソードが全く記憶にない。


「なんと。人助けを憶えてないと!カッコいいな、それ。いや、守ってばかりで守られたことがなかったからな!正直、カッコ良かったぞ!」


 バチコンとウィンク、そしてサムズアップしてくるムチムチ。所作がいちいち男前なのは何なんだ。


「幸い、食べ物には困らないし戦力も申し分ない。ガルバパパスがいるなら強行軍をする理由もないし、安全第一で地上に戻ろうか!」


 一人なら無茶するつもりだったのかよ。落とし穴でも庇い損なって、俺は足手まといなのかと落ち込んでたが、正直足枷としてでも一緒に落ちてきて正解だった。死にでもしたら洒落にならんぜ。てかなんだガルバパパスって。言いにくくないか?


「ハッハッハッ!安心したまえガルバパパスよ。私は死なん!何しろ、勇者だからな!!」


 再び、サムズアップウィンク。うん。とても勇者っぽい言動です。


「そうだろそうだろ。しかも死なないだけじゃなくとてもお洒落さんだ。美貌とスタイルも中々のものと自負している!」


 ああ、まあ、自分で言うだけの事はある。


「・・・」


 ・・・


「・・・」


 いや、何なんだ。何か言いたげなまま何故黙る。


「いや、なんだ。何が言いたげなのかと言えばだな」


 ゴツい愛剣を木の枝みたいに軽々しく振るって地面にのの字を、実際は地下通路の床の石材をガリガリ削って描いているのだが何だこれは。何かの訓練なのか?もしかして照れ隠しなのだろうか。


「・・・何なら、私がガルバママスになろうか?」


 きゃっ、言っちゃった!といった感じで恥じらい、ムチムチは照れ隠しに壁をぶん殴って爆砕させ、現れた隠し部屋に飛び込んでいった。乙女の可愛い悲鳴と化物のおぞましい絶叫が同時に聞こえてきて地獄みてえだな。と思った。何なんだろこの人は。地獄道に住んでるんだろうか。


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