デザート
「勇者ムチムチ見参!悪い狼め!私が懲らしめてやっバチバチ」
「開幕電撃キルキル棒ブッパ」
ジャングルを出た先は砂漠だったのだけども、俺がデザートウルフへと生え替わった途端、変な女が現れた。そしてガルバに処刑された。しっぽがひゅんってなった。
「おー、お兄さんのハーレム要員確保だねっ」
「ふむ。なるほど。人間は、面白い。どうも、ミュータントから新しくブレイブァーになりましたガルバです」
ブレイブァーって、それは種族じゃなくて職業ではなかろうか。
「いやぁ!まさか私以外にも勇者が現れるとは!ガルバちゃんといったかな」
今さっきなったんですけどね。信頼してくれてるから黙っておこう。
「私の名はムチムチ。現在二十歳だよ。当然本名じゃないが、生前やっていたRPGの主人公に付けた名前で気に入っている。魔法も、やっていたRPG同じものが使えるしね」
ふむ、この人もゲーム畑の人間か。やはりここはゲームなのか。
「いえ、セガはアクションRPG、ムチムチは古典的RPGの認識で違いがあります。ちなみにお母さんは黙っていましたがTRPGの世界だと思ってましたね。ちょうどエルフのキャラシートを作っていたみたいで」
シャチさん多趣味だな。
砂漠を進むとオアシスが
「なんだ。地獄じゃなかったのか」
「長旅、大変だったろう。ようこそ我が王の治める楽園へ!」
「よくぞ我が王国へ。新たな勇者よ。歓迎する」
恰幅の良い王様が玉座に座り、お姫様がたが食べ物を運んできた。王様が姫様の群れを指して笑う。
「どうだ、美しかろう。我が自慢の宝石たちさ」
詩的な王様である。娘たちが可愛くて仕方ないのだろう。
「昔は酷かった。宝石たちは次々迷宮に呑まれ消えていった。我が勇者があらわれてからそれもすっかり抑えられたが、まだ完全ではない」
ルビーのようなみずみずしい果物をかじりながら、王様が嘆く。話を聞くに、ここは迷宮というものがあり、そこから資源を得て保っている、仮初めの楽園らしい。まるでゲームのような話だ。
「我は欲深い男だ」
俺からずっと目を反らさず、訴え続ける。
「新たな勇者の、その主よ。どうか我が国を助けていただきたい」
父親という存在は、子供のためならば何処までも真摯になれるものなのだろうか。




