ケダモノ
「前に言ってた森の赤ん坊、ぜったいボスだよね!いこうよ。最後は燃やして焼畑しようよ!」
妊婦のようなボスを倒して、内臓がかなり復活したらしい。セガの血色はずいぶんと良くてお肌ツヤツヤだ。最初出会ったときは血の気も表情もなく、可愛いお人形さんのようであったが、今ではすっかり年相応のお人形さんみたいな可愛い女の子だ。不相応にパンツははかないが。
「しかしな」
ガルバはどう思うだろうか。
「私の自己満足と彼女の片腕どちらが大切ですか?ちなみに私といったらビリビリ、彼女といったら愛娘です」
「ははっ、素直じゃないよな」
《ばしゅ ぐらっ》
またかよ。
「おっしゃー!パーティーのはじまりだっ。パンティーはもう御開きだけど。なんつって!」
中毒症状とかがでないか真剣に怯えながらパーティーを終えた翌朝。ガルバとセガはすでに起きており、川のそばでなにか相談していた。セガの顔色がずいぶん悪い。
「二日酔いか?寝ていたらどうだ」
「あ、ううん。大丈夫。お薬もらったし」
「不足も多いですが心配はありません」
「あーでもさすがに飲みすぎたかな。今日からしばらくいらないや」
翌日、森へと戻る道の途上。休憩をいれ、ガルバはは赤黒い籠の作成。セガと俺は散策だ。ゆっくりとした道のりだが、寄り道せず、川沿いのみを真っ直ぐ進んでいくので館へはそれなりに早く着くだろう。
「お兄さんはシャっちゃんのこと一番好きなんだよね?」
草をスキル付きの刃物で処理して文字どおり道草を食いながら確認をとってくる。会ったこともない相手をなれなれしくあだ名で呼べるセガ。
「まあ、そうだな」
「いいなー。あーあ!大人の女には勝てないよ」
まあ、一部完勝しているところもあるが。体とか邪念の無さとか。
「自分が28になった時に同じようになれると思えないね。プロフィール完璧過ぎ。男が劣等感いだいて別れてしまえ」
やめたげて。あの人、実際にそんな経験ありそうな気がするから。
「わたしが出来ることなんてゲームくらいだよ。この世界がゲームだったらなー」
「セガが見ている夢かもしれないぞ」
「いまさら困るなあ!わたし餓えすぎ!どんだけどんよくっ」
大丈夫。何でも出来るお姉さんも似たり寄ったりだった。お前のまわりには餓えたケダモノしかいないぜ。
「ゲーム感覚でやたらめったら貪ってたけど、ここはゲームの中でも夢の中でもない現実なんだよね。世の中ろくでもないね」
そうだな。まさかこんな形で人生に次があるとはな。
「継ぎはぎみたいな体でずっと腹すかして歩きまわるとかどんな罰だよ。地獄説濃厚だよ。生まれ変わらなきゃ良かった。うそうそ冗談。お兄さんに出会えて良かったよ。素晴らしいものいっぱいもらっちゃった。今だって話すだけで安心だよっ夢うつつだよ!」
「相槌うつひまもないよ。矢継ぎ早にまくしたてるなよ」
「まー見てなさいって。今に貪るだけだったメスガキが、すてきな第三婦人に生まれ変わるのをさ」
セガは昨日と比べてすっかり良くなったみたいだ。結局なにが原因で思い詰めていたのかわからなかったが、くだらない会話ですこしは気が紛れただろうか。お酒が原因でないことは確かなのだが。
いまはすっきりした良い笑顔だ。どうすればいつも笑っていてくれるだろう。シャチの時はどうしていた。シャチと2人だけだったころはこんなに悩んで身動きがとれなくなることはなかったはずだ。僕は人間にもどりすぎた。
ガルバのように、ひとの心がわかればよいのに。




