クリアー
セガのこれまでの生活は本当にゲーム的だった。皮膚に卵を植え付けてきそうなジャングルの中で虫刺され1つなく、それどころかこれまで排泄の経験すらなかった。
「ほらー、わたしご町内のアイドルだったし、ウンチしないんだよ」
そもそも口どころか消化器官がまともに存在しなかったせいだと思う。今は排泄を済ませたあと、ガルバと二人で寒い森産の香油を塗っているところだ
「いい匂いだけど、何かサラダにでもなった気分だー」
「密林の素材でつくると、スパイシーな仕上がりになりそうですね。カレーのような。食べたことありませんが」
「カレー!いいなあ食べたいっ。つくってっ。あーあー!二人が来てからまるで別世界だよ。コンタクトつけたみたいな」
視界がクリアーになったと言いたいのだろうか。
「そうそう!進路クリアー発進どうぞ」
「K-DAMONO・タネマキ機、でます!」
「びゅるびゅる~」
ガルバ、何があった。よほど浮かれないかぎりこんな感じにはならないはずだが。何だかんだ年の近い友達ができて嬉しいのだろうか。そしてやめろ。二人してどこを触っている。
「エルフ形態ではどうしても出来なかったのですが、ミュータント形態だと腐敗魔法で命の水がつくれるようになったのです」
「おー!不味い!」
「おまえ、それってウイス」
「大丈夫です。元・成犬です。つまり二十歳すぎです」
いや、セガは知らないが俺たち二人は生後数ヶ月かそこらだろう。まあ、法律云々のまえに人間が存在しないからな。
「せっかく味覚を取り戻したのですから、今日もパーティーをしましょう。夜は別口でパーティーしますから、丸一日パーティーですね。焦ってどうこうなる旅でもありませんから、今日くらいは」
「うっしゃー!ほらー、お兄さんも早く食べなよ。どんどん追加しちゃうぞ。向こうから来るしねっ。うおらっしゃあ!しねっ」
昨日まで苦戦していたはずだが、今では武器から衝撃波を出すレベルだ 。視界どころか世界観がぼやける。全然クリアーじゃない。
「元気ないね。お兄さんは別口で別口に食べられちゃうんだから、今からもっと元気びんびんタンクぱんぱんでいないと」
何でもいいんでパンツはいてください。
「種は生前に女性関係でいっぱい失敗してますからね。すぐに手を出して別れまくってトラウマなんですよ。もっとあからさまに誘わないと」
「女の子がそこまで求めてないのに、その先まで暴走しちゃったんだよ」
「んー。イケメンで気持ち良ければ別によくね?」
「あ、こら。言いかたに気をつけなさい。恋愛感情がが無いみたいに聞こえます。堪え性のないクズだったことがトラウマで、肉体関係を結びたがるくせに気持ちが通わない関係は嫌がるわがまま種馬なんですからもっと気を使ってやってください。ああ、ほら。拗ねてしまいました」
「おー!ビースト・モードちょーかっけー!すげーサラサラツヤツヤ」
「履き心地は過去最高ですね。今日もつくりますか。もっとあからさまに誘っているやつを」
犬形態でも涙がだせるのは不思議だ。さすがファンタジーだ。トロピカルな果物を食べて草食系になろうかな。




