カシューナッツ
「まさか1週間で出産するとは思いませんでした」
装飾過多な刃物を親の仇のように睨み付けている。
「それ、あーその子はもしかして生きている武器とかなのかな」
「いいえ。ただの農具です。鎌の刃ですね。せっかくですから武器として使いましょう。素敵な柄を作ってあげなくては」
子ボルトかエルフかと期待していたぶん、俺たちのショックは大きかった。産まれてきたその子に対して、罪の意識を感じてしまう。
「所詮おしゃぶり、まがい物。私の愛情など、子どもが親に抱くような、そんな拙い、へたっぴです。これは私にぴったしの結果でしょう。果が結ばれることはありませんでしたが」
「違うよ。きっとその子が産まれたことには理由があるんだ。愛することに理由はいらなくても、愛したことの結果には、必ず理由があるさ」
もちろん、ガルバが生まれた理由だって。
「作業効率がすさまじいことにっ。あははは!流石は我が娘。こんな力を隠しもっていたとは。子憎たらしい。勿体ぶりやがって。いじましいビッチめ、可愛いやつめ!」
うん。興奮するとシャチに似てくるな。やはり親子なんだな。
そんなこんなで、シャチと別れて1週間。俺たちは地の果てへたどり着いた。
「あからさまに境目ですね」
かつての山と森のように、目の前には密林がひろがっていた。派手な色の鳥や巨大な蛾とかいそうである。川だけはずっと流れ続けなにも変わらないように見える。
《うおらっしゃあ!せいや!とーーう!》
密林がわの川で何か既視感が。
《あ、困りました。死んでしまいます》
すぐに助けに入った。境界を越えてすぐに毛がはえかわったが気にしていられない。カシューナッツ感覚でこりこりとお摘まみたちを貪る。
「大丈夫か?」
《もしや、あなた元人間なのですか》
黒目黒髪。まんま日本人の少女だった。これは人間道、つまりただの人間だろうか。彼女の片目片手が失ってずいぶん経つようすである説明がつかない。この程度の怪我なら、俺やシャチなら時間はかかるが回復するはずである。シャチは自己申告だったから確認してないが。
《助けてくださたい!このままではお腹が空いて死んでしまいます》
少女は残った手で刃物を握ったまま、自らの口を指さす。唇は固く閉じられ作り物のように血が通っていない。
《わたしは妖怪どもを殺して、体をとり戻す旅をしています。どうかお力を》
彼女は声を発していない。左膳かと思ったら百鬼丸だったか。
「耳は」
《聞こえてません》
百鬼丸だな。修羅道かな。
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