表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
畜生変  作者: 感 嘆詩
13/37

舎脂

「いかなきゃいけない場所があるんだ」


「あの建物か」


「ううん。君と私の輝かしい未来のためにどうしても必要な、気ままな一人旅だよ」


 毛皮も大きな体も、夜気から身を守るものは今はない。シャチのつくったものたちとシャチだけが全てだ。


「子どもでも作ってさ、待っててよ。貞操とかいいから。私と君どっちかが死んでたりしたら、またひとりぼっちになっちゃうから。せいぜい、私が寂しい思いをしないように村なり町なり、瓜のすず生りにこさえておいて」


 《ぱしゅ》


 胸を撫でていた手のひらから音がした。再び水の幻につつまれる。





「彼女のなかでは以前から決めていたことです。私はちょうどよく現れた哺乳瓶。もしくはおしゃぶりですね」


 じゃあママのおっぱいはどこに消えたのかな


「彼女は自分が地獄におちたと思っていました」


 シャチは天道だろう。いい感じに、解脱出来ない煩悩具合だし。


「解釈なんてそれぞれですよ。猫の目のように。見る時によって変わるもの。少なくとも、彼女は今この時、地獄道だと思っている」


 なら地獄で必要な旅ってなんだろうか。


「贖罪でしょうね。せいぜい、綺麗になって帰ってきた彼女を愛してあげましょうよ」


 しばらくは犬の姿でいいかな。あれこれ悩まなくてすむ。


「そうですね。それがいいです。私もこれから産休とりますから、犬のままなら好都合です。出発しましょう。どこか遠くへ」


 彼女の旅とは、どこへ向かうものだろうか。僕にはどうしても、この世ならざる場所への招待を受けた気がしていた。神の前で裁かれるシャチを幻視する。

 あっさりと、眠っている間に消えてしまった。現実感がない。どこかふわふわしている。

 僕にとって、やっぱりシャチは天女さまだった。羽衣だけ残して、消えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ