表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
畜生変  作者: 感 嘆詩
12/37

けだものー

「うーん、まともな男に抱かれるのがはじめてだから、まともに男に抱かれるのもはじめてだ。私の周りろくな奴いなかったんだなー。あ、前世だからのーかんのーかん」


「じゅーかんじゅーかん」


「けだものー」


「「いえー」」


 母娘でハイタッチしだした。意味がわからない。


「うふふふ、もう親子じゃないんだよ」


「そうです。第一夫人と第二夫人です。ちなみにちっちゃいもの順です」


「あははずるい。かわいいから許すー」


 夜が明ける前には眠り、起きてまた夜。シャチとガルバの密約は切れ、今は三人。昨日よりずっと落ち着いている。


「新しいブーツにでもしてやろうかと思ったけど、やっぱりやめた。顔はお父さんでも、赤ちゃんだしね」


「これから母親になる私たちが、どんな理由であれ赤ん坊を殺すわけにはいきませんしね」


「あはは、毒がきついな我が娘は」


「いや、待て。ガルバを母親にさせねぇよ」


 何だその目は二人して。


「本気で言ってるのかい。君、自分はガルバに手をださないと」


「何で手出しするのが当然の言い方なんだよ」


「なるほど、種まき機さんは家族サービスも得意ですね。娘の純情を自覚なく踏みにじる天才です」


 ひどい言われようだな。


「そんなことをしなくても。お前は俺の大切な娘だよ」


「信じられません。1日2日で、人は人を愛せますかね」


「第一夫人は私の記憶もあるはずなんだけどなー」


「お前と俺は良く似ている。俺も不安だった。でも、例え出会ったのが一瞬でも、そのとき感じた気持ちが本物なら、それはきっと本当に愛してる。ってことなんだと思うようになった」


 少なくとも、その一瞬、今このときは。


「いひひ、シャっちゃんが愛の奴隷にしちゃったか」


「エロとか抜きに真面目に骨抜きだよ」


「え、えへ!?えへへへへへ」


「信じきれません」


 ぽろぽろと、無表情のままガルバは涙をながした。


「途中、お母さんと間違えて何度も私を"抱っこ"して気づかないような種まき機の言うことなど、聞く価値はないのです」


 《ぱしゅ ぐらっ》


 え?


「一姫二太郎がいいですね。でも、産まれてくれさえすればなんだって良い気もします。拙い愛の結晶です。とても神秘的なことで、でも当たり前のことなんですよね」


「うん。それに一線越えちゃってるし、下らない誠実さを捨ててとても神秘的に抱っこして、当たり前のようにがつがつしてくれるよきっと」


 あれ?途中まで家族のつながりに関わる会話をしていたはずなんだけど。ガルバの目元から突然、涙が消え去り、俺は水に包まれているような心地よさに包まれた。


「涙を武器に男を落とす。我が娘、女になったんだね」


「種まき機。意識は、ありますね。私の涙を、ガス圧で、あなたの、血管まで、注射しました」


 そんなにはっきり区切らなくても聞こえている。


「お母さんは麻の妖精なんですよ」


 なるほど、古くから食と衣の象徴的存在ですね。中2心がうずきます。なんで俺もっと勉強して民俗学専攻しなかったんだろう。結局金にならないけど。


「ついでにお薬の妖精さんでもありますね」


「エルフねー。本当にエルフなの?だって木の股から生まれてきたんだぜ。君が畜生なら、私は鬼のたぐいだな」


「いいとこ取りの私は鬼畜ですね」


「うまいっ」


「「イヒヒヒヒヒヒヒ」」


 これはあれだ。俺の貞淑さを試しているんだ。きっとそうだ。俺が本物だと思ったら、それが真実なのだ。少なくともっ、いまっ、このっ、時っ、ひゃあああっ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ