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はじめに
「ほら、名前何でしたっけ。えーと、確かロシアの劇作家だったと思うんですけど」
男はこめかみを弾きながらうんうんと唸っている。
「地獄が人手不足なもんだから、じゃんけんとか三竦みのような、相性最悪の人間を集めてお互いを苦しめさせるってお話なんですけど」
「まあ、人間関係というのは儘ならないものだよね。合わない相手と関係するのは地獄のようだね。こんなに辛いのはおかしい。悪魔の仕業じゃね。って事を表現したかったんだと思います」
男の案内で来た部屋には、三人の男女がいた。肩を寄り添って、穏やかに眠っている。
「実際試してみたんですけどね。この様です」
「相手が嫌なら、見なきゃ良い。口を開かなきゃ良い。でも独りは嫌だから、ああして触れあって、空想しているんです。理想の相手をね」
「地獄なんてどこにも無かったんです。僕たちには天国しかない。あなたの場合は楽園ですね。他にはなにも」
以降、よろしくお願いします。




