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さくら咲く  作者: みほ
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あたしは、3か月前まで


会社に勤めていた。


世間の誰もが知っている有名な会社。


就職したときには、家族も友達も喜んでくれて


もちろんあたしも、誰より頑張ろうと思ってた。



配属された先には、厳しくも優しい先輩たちが


いつも叱咤激励して仕事を教えてくれた。


その中の基本的な事が、机上整理だった。



「仕事はうっかりミスでは済まされない。


そのうっかりが何10億という損失を生むことだってある。


学生気分なんかさっさと捨てろ。


ここでは、甘えは許されない。」



厳しいなぁ・・と思いつつも


確かにその通り。


同期がやらかしたうっかりミスは


何10億とは行かなくても


かなりの取り引き額の絡んだ仕事だった。



課長が、血相を変えて原因を追究した。


単なるメモの貼り忘れ。


伝言のうっかりミス。


そんなことが原因で、


事務所は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。



当然ミスをやらかした当人に


どうすることも出来ない事態になり


どうにか事態は課長の手により終息したものの


社会の厳しさをこの身に叩きこまれた。



「次は許されないと思え。」


ただその一言で、同期一同


改めて気を引き締めた。


そして、それ以来一切そのことについて


口にしない課長の潔さを


カッコいいなと思った。





「カウンター、すっきりしてると


何だか仕事しやすそうだな。」


雄輔さんが片桐さんに声をかけている。



当たり前だ。文字を書くところさえ碌にないカウンターが


仕事しやすいわけがない。



「そうね。」


面白くなさそうな返事を返す片桐さん。


ちらっとあたしの方を見るけれど


あたしはさりげなく目をそらした。


あたしは何も言いませんから。


別に恩を売るつもりもありませんから。



小さくため息をついて、


両手に抱えた本を並べていると


「いらっしゃいませーーー!・・?」


と、何だか語尾の微妙な雄輔さんの声が聞こえた。


お客さんに何かあった?


変なお客でも来たのかな?と思って


入口に目をやるとそこには


金髪碧眼の外国人が誰かを探すように


きょろきょろしていた。



「エクスキューズミー」



・・・・・・・・



あーあ・・・雄輔さん、固まってるよ・・・・



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