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「前向きに検討させていただきます。」?
そんな・・・・
菊池さんの答えを聞いた社長は満足そうにほほ笑むと
「そういうことだ。で、君の希望があれば
ぜひかなえたいと、これは菊池くんからの希望でもある。
君は優秀だから、希望通りのところに
行かせてやってほしいと。」
はい?何それ!
「少しお時間をいただいてもよろしいですか。
なにぶん急なお話なので
どう答えていいかも考えられませんので。」
動揺する胸の内をなるべく晒さないように
あたしは答えた。
「ああそうしなさい。
前向きなところが君のいいところだと
評判だからね。ぜひ、前向きに検討したまえ。」
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「どういうことよ、全く!」
菊池さんを空いている会議室に引っ張り、
あたしは直談判をした。
「そもそも君と俺は、ちゃんと付き合っていたか?
どっちかというと、陽太との方が親しいんじゃyないか?」
「何それ?どういうこと?」
「どういうこともなにも、そのままだ。」
「で、奈々美さんと出世の椅子をとると?」
「前向きに検討すると言っただけだろ!」
「ありえない!」
結局、あたしは信じられていなかった。
何で陽太と親しいなんてそういう思い違いするかな。
同期だから仲いいのは当たり前なのに。
っていうか、普通でしょ普通。
「課長、こんなとこにいましたか、
お客様です。」
奈々美さんが菊池さんを探しに来た。
「すぐ行く。」
菊池さんはそう返事をして
「じゃ、後でまた話そうか。」
と、会議室を出て言った。
「お父様から聞いたでしょ。
あたしたち、お付き合いするから、
あなた目ざわりなのよね。
なるべく遠くに行ってちょうだいね。」
奈々美さんの意地悪な視線と言葉に
「菊池さんがそんなこと了承するとでも?」
と返すと
「あら、さっきほぼオッケーの返事をしてたでしょ。
あなた聞いてなかったの?あたしと結婚すれば
出世間違いなしだし、それに」
思わせぶりに言葉を切った奈々美さんは
フッと笑みを浮かべて言った。
「体の相性も結構いいのよね。」
それって・・・・・
そういうこと?




