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さくら咲く  作者: みほ
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30/110

30

年末を迎え、仕事納めの日、


あたしは菊池さんにメールを送った。




「この後ご飯でも行きませんか?久しぶりだし。」




かれこれ2カ月、二人きりで会ったことがない生活。


年末に向けて忙しかったから


正直な話クリスマスも残業だった。


せめて今日くらいは・・・と思ったから。




「6時に玄関で。」




そうメールが帰ってきて、


久々にあたしはうきうきした足取りで


待ち合わせの玄関に行った。




久々の二人きりの食事だったけど


菊池さんの表情がなぜが固い。


「何かありました?」


サラダを食べながらふと問いかけると


「あ・・別になにもない。」


と、思い出したようにフォークを握る。




変なの・・・と思いながらも食事を続けていると


「偶然ですねー。」


と、頭の上から声がした。




そこには陽太と奈々美さんが。


なんで?




「あ、課長、せっかくなのでご一緒してもいいですか?」


奈々美さんの言葉に


思わず、眉をひそめるあたし。


どう見てもデート中なんですけど・・・




菊池さんに目をやると


彼も同じように驚いていた。




「大勢のほうが楽しいですもんね。


じゃ、お言葉に甘えて♪」


陽太がどの言葉に甘えたのか知らないけど


あたしの隣に座り、


奈々美さんが菊池さんの隣に座った。




・・・・・・・・・・・・・


せっかくのデートなのに・・・




「今年も忙しかったけど何とか終わりましたねぇ。」


そう言って、グラスを掲げあたしにほほ笑む陽太。


それにつられてあたしもグラスを持ち上げた。




奈々美さんは、菊池さんの隣で


「さ、せっかくですから飲みましょ。」


なんて、やたら体を菊池さんに寄せて


楽しそうに笑ってる。




二人の勢いに押し切られたような形で


この日の食事は終わり、


「俺、送って行きますよ。同じ方向でしたよね。」


と、あたしは陽太に背中に手を添えられてた。




「ずいぶんと親しそうだな。」


菊池さんの声がやけに冷たく聞こえたのは気のせい?




「じゃ、課長、あたしたちは同じ方向なので


送ってくださいますよね。」


奈々美さんが課長の腕に自分の腕をからめる。




この時、突き離せばよかったのに


邪魔しないでと言えればよかったのに


あたしたちはどちらも


それをしなかった。




そして、それが決定的な失敗だったと知ったのは


年が明けて新年会の時。




悔やみきれない想いがあたしの中にあふれたけれど


どうしょうもない事態になっていた。


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