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さくら咲く  作者: みほ
19/110

「大丈夫か?取り合えず座れるか?」


そっと抱えるようにして


椅子にあたしを座らせてくれた雄輔さんは


「ちょっと店、出てくるわ。


無人はまずいからな。」


と、レジに行った。



あたしは、申し訳ないけど


立つことすらおぼつかなくて


ポケットからスマホを出すと


店長の番号に電話をかけた。



「もしもし、店長?動けなくなったので


お休みもらってもいいですか。」


「動けなくって・・・何かあったのかい?


すぐに行くから。」


2階の事務所から降りてきた店長は


一階の事務所で座ったあたしの前に立った。



「立てないんだって?」


「はい。多分ぎっくり腰・・・・」



一瞬目を見開いてから、店長は


盛大に吹き出した。


「若いくせにぎっくり腰って・・・・・


本屋じゃやっぱり勤まらないってか?」


「そんなことはありません!」


ムキになって言うあたしに、


片手であたしの言葉を制した店長は


店でレジ打っている雄輔さんに声をかけた。



「この子、送って行ってやってくれないかい?


どうやら自分で歩けそうにないらしい。」



雄輔さんは気まずそうに言った。


「それは・・・・・ちょっと片桐がいないので・・・」



ちらっと店内を見回して、


それから床に落ちたエプロンを拾い上げ


ん?という風に首を傾げた後


あたしに顔を向けた。



説明しろとその目が言っている。



・・・・・・・・・・・・



「誤解して怒って出て行ってしまいました。」


・・・・・・・・・・・・



思い出して真っ赤になっているあたしと


妙な顔してる雄輔さんを見ながら


店長はにやりと笑った。



「ほー、そうかい。ま、その誤解は


あとで聞くとして、取り合えず


今のお前さんじゃ使いもんにはならない。


送ってもらいなさい。


店は見ておくから。」


店長はそう言って、雄輔さんに


「業務命令。今すぐ行ってきなさい。」


と笑顔で、しかしきっぱりと言った。



「分かりました。


あ、店長、今日出す分の書類です。


目、通してください。」



さっきプリンターから出された紙を渡した雄輔さんに


「今月は早いじゃないか。


いつも夕方ギリギリまで粘ってるくせに。」


と、店長は驚いて言った。



「いや、これはオレじゃなくて・・・」


二人の視線があたしに集中する。



「そういうことかい。」


ぽつりとつぶやくように言った店長は


「心境の変化かい?」


と、ウインクした。



何ですかその含んだ言い方とみょーなウインク・・・


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