⑰
毎月店長に出す報告書を
雄輔さんは朝から作っていたらしい。
それで売り場に人手が足りなかったのか・・・
おかげであたしは、荷物運びで
ちょっと腰を痛めたみたい。
「いてて・・・」
少し腰を曲げた時にふと口からこぼれた声に
「どした?」
と、雄輔さんが怪訝な顔をした。
「ちょっと無理したみたいで・・・
少し腰痛めたみたいです。」
「んじゃ、無理すんな。
・・・・っつっても、今日中にこれ
仕上げねーとまずいんだよな・・・・
参ったなぁ・・・・」
と、報告書や請求書などの書類を綴じた
ファイルを手に取った。
・・・・・・・・・・・・・・
変に動いた時に、またグキッと変な音がした。
あ・・・・マズイ・・・・・
固まったあたしに、雄輔さんが
慌てて椅子を引いて座らせてくれた。
「取り合えずここで休んどいて。」
そう言って、店に出て仕事を始める。
今、出さなきゃいけない新刊や雑誌が
倉庫には山盛りだったから。
あたしは、ぺらっとファイルをめくった。
・・・・・・・・・・・
数字入れてグラフ化して、
発注書作って、請求書作んのね・・・・・
だったら、元があるのに30分もあれば
出来るんじゃない?
「あの・・・・これ急ぎですか?」
近くを通りがかった雄輔さんに
ファイルをかざしてみせる。
「ああ。でも、いいよ。店終わったら残ってやるわ。」
荷物を運びながら答える雄輔さんに
もうしわけないなぁ・・・と思ったあたしは
「これ、代わりに作りましょうか?」
と声をかけた。
「出来んならありがてーけど。
無理しないでいいから。」
そういうと、忙しそうに言ってしまった。
久々に触るパソコン。
でも、当然というか、会社一早いタイピングを誇った
あたしの腕は衰えていず
30分後にはすべての書類が
プリンターから吐き出されていた。