⑬
「ちょっと晩飯付き合え。」
仕事が終わった後、雄輔さんが
あたしに声をかけて言った。
「でも・・・・」
「晩飯ぐらいいいだろ?
それともなんか用事でもあんのか?」
「そんなことないけど。」
「じゃ、行くぞ。」
なんだかよく分かんないけど
強引にご飯に付き合うことになった。
早く帰りたいのに。
雄輔さんが連れて言ってくれたのは
にぎやかな居酒屋。
知り合いのお店らしく、
「いつもの2つー」
って、言うと、
「あいよー!」
と、威勢のいい返事と共に
生ビールがドンと出てきた。
「言いたくねーなら無理にとは言わねーけどな。
今日、何があったんだ?」
・・・・・・・・・・・・・・
唐揚げや串揚げをつまみながら
ビールを飲み干し、
あたしはふと昼間のことを思い出した。
あの二人が見ていたのは
有名な結婚情報誌だった・・・
やっぱり結婚するんだね・・・
「会いたくない人に会った。それだけ。
迷惑かけて済みませんでした。」
「ふーーん・・・・」
黙ってビールを飲みながら
あたしたちは、黙々と食事を続けた。
「元彼か?」
雄輔さんが突然ぽつりとつぶやいた。
「はい」
しかも彼女付き・・・・
「困った時は助けてやるから
一人で困ってんじゃねーぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
と答えたけれど、
男なんて二度と信じない。
いつか壊れていく優しさだったったら
そんなものいらない。