リムじゃない彼女
今日は個人的にいいことあったんで、ノリノリで更新です。
一話あたりの文章がやたらと少ないのは、毎日二回更新だからではなく、序盤だからだと信じたい・・・。
「康治、めっちゃ面白かったよ!はやく帰ってやりてえよ!」
「お前は昨日からそればっかりだな。まあ、面白かったことは否定しないが。」
教室に入ると、隼人が飛んできた。
誰かと「Another World On-line」の話をしたくてうずうずしてたみたいだ。
「結局隼人は魔法職にしたのか?」
「ああ、ウィザードにしたんだ。魔法使うときの爽快感はたまんねえぞ。」
魔法職、魔法を使ってみることに憧れがなかったと言えば嘘になるが、ゲームを進めていけばいずれは手にできるだろう。
「俺はレンジャーにした。変わったスキルを覚えられるみたいだからな。」
そう、俺がレンジャーを選んだ理由の一つだ。
レンジャーのスキルには、暗闇を見通せたり(魔法でも光源を作れるらしいが、いくらなんでも目立ち過ぎてしまうだろう)姿を隠したり、木にのぼったりと、トリッキーなスキルが多いらしい。
「レンジャーか、俺は扱い辛そうに感じたけどな。」
隼人と盛り上がってると、土原が登校してきた。
「おはよう、土原。」
「あ、田中くん。お、おはよう。」
なんか元気がないな。昨日のハイテンションが嘘みたいだ。
「なんか元気ないな。体調でも悪いのか?」
「え、そんなことないよ。全然普通だよ。」
昨日とは、いや、リムとは別人みたいだ。意外となりきっちゃう系の子なのかもしれない。
ちなみに煮え切らない系男子筆頭の隼人は、憧れの土原さんの接近に耐え切れずに自分の席に逃げて行ったみたいだ。
俺が土原の隣の席になった時は羨ましがってたが、あいつがこの席だったら、常に石像のようになっていることだろう。
いや、今は隼人のことはいいか。
「そうか。まあ、あんまり無理すんなよ。」
数少ない大事なゲーム仲間だからな。今の所プレイヤー数が限られてる「Another World On-line」で、リアルの知り合いは貴重だ。
決して下心があるわけじゃないぞ。
「う、うん。えっとね。」
「どうした?」
「ちょっとね、なんか恥ずかしいなって思って。それだけだから、あんまり気にしないでね。」
そう言うと土原は赤面して俯いてしまった。
なるほど、昨日の自分のキャラを思い出して、ちょっと恥ずかしくなったと。
いかん、いつもの三倍はかわいく見えてきた。
いやいや、落ち着け俺。まだ心のゴリラをウホウホ言わせる展開じゃない。自重するんだ。
休み時間は土原はいつもの女子グループと、俺は隼人と絡んでるから、話すことはなかった。
「ゲームでいくらでも話せばいいしな。」
「ん?康治、今なんか言ったか?」
「いや、別に。」
隼人に話すとうるさそうだし、話が変な方向にいきそうな気がするからやめとこう。
結局この日は土原とはあれから話さなかった。
あんまり意識しても気持ち悪いって思われるかもしれないしな。
たまにチラチラ見られてたような気もしたけど、俺は自分が勘違い系男子筆頭である自覚があるから大丈夫だ。あれは気のせいだ。
昨日は心のゴリラをウホウホ言わせすぎたから、今日は自重している。よし、ナイス俺。
「ようこそ。「Another World On-line」へ。」
電源を入れると、前にも見た白い部屋に立っていた。
どうやら様々な設定(今は関係ないけど、クラスの組み替えなんかができる)を済ませてからログインできるみたいだ。
「じゃあ、転送・・・街に転送されるのかな?」確かギルドの受付のところでログアウトしたはずだ。
割り込んだとか言われて、トラブルになりそうな気がする。
「前回のログアウト地点が王都ですので、王都の中央広場に転送となります。」
なるほど、街でログアウトした場合は、初めてログインした時の噴水の前にログインすることになるのか。
「街の外でログアウトした場合は、どこに転送されるんだ?」
「フィールドでログアウトされますと、次回ログインはログアウトされました地点に転送となります。」
なるほど、ログアウトとログインを利用して街に帰ったりはできない仕組みか。
「じゃあ、王都に転送してくれ。」
「かしこまりました。王都に転送いたします。」
前も思ったけど、「Another World On-line」の世界をお楽しみください、とかなんとか一言あってもいいのにな。
ちょっとあっさり書きすぎたかも?
そのうち、土原さん視点で何話か書くかもしれないです。