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はじめてのクエスト

日付変わったんで、今日の分です(笑)

多分金曜日中に、あと一回は更新する予定です。

ギルドの中はいかにもな雰囲気だ。

壁に取り付けられたボード(通称クエストボード)に多種多様な依頼、薬草収集から魔獣の討伐、中には雨漏りの修理なんてのもある。


「ここに貼ってある紙を受付に持って行ってもいいし、直接受付で受けられるクエストもあるよ。」

「じゃあ、とりあえず受付に行こうかな。」


受付カウンターはいくつか並んでいて、その中の比較的空いている列に並んだ。隣の列の方が早く進んだ。

俺はこれを「スーパーのレジの法則」と呼んでいる。


「コージ、パーティー組んどこう。」


リムがそう言うと、頭の中に「リムにパーティーに誘われました」ってアナウンスが流れて、選択肢が現れた。もちろん「はい」だ。

パーティー編成やログアウトなんかの操作も、基本的には全部念じて行う。

ちなみにパーティーは六人まで、パーティーを組んでいると同じクエストを受けられる。


ようやく自分たちの番になった。受付の人は美人なお姉さんで、NPCだとわかっていてもドキッとしてしまう。


「えっと、初めてなんですけど。」

「はい、コージ様はFランク冒険者ですので、こちらの一覧のクエストが受けられます。」


そう言って複数の、どれも無難そうなクエストが示された。


「どれにしようか?」

「うーん、最初だし無難にゴブリン討伐っていうのはどう?」


難易度1、GP1の初歩的なクエストだ。ゲームに慣れるのにもいいかもしれない。

ちなみにGPはギルドポイントの略で、GPをたくさん集めるとランク(最初はFで最高でSまであがる)が上がって、割のいいクエストが受けられる仕組みだ。

クエストをまったくしないプレイスタイルでもそれはそれでいけるらしいが、クエストをがんがんこなすのがやっぱり王道だろう。

「じゃあ、ゴブリン討伐をお願いします。」

「はい、ゴブリンは街を出て南の街道に多く出現します。お気をつけて。」


クエストを受けるとヒントをくれるのか。これはありがたい。


「よし、さっそく行くとするか。」「最初だし、楽勝でしょ、楽勝楽勝。」









「何あれ、めっちゃ怖い。あれ、めっちゃ怖い。」

ゴブリン、緑のちっちゃい奴。そこまではいい。凶悪そうな顔、手に持った刃物。


「よし行けコージ。」

「よし行くぞ俺・・・ってなんでやねん。」


無理無理無理、だって刃物だし。刃物持ってるし。


「リム、鎧に剣ってことはファイター、前衛職なんだろ?」

「えー、それは女の子に言うセリフじゃないよ。男らしくパーッと当たって砕けてきてよ。」

「いやいや、砕けちゃダメだろ。」


騒いでると、ゴブリンに気付かれたのか、ゴブリンがこっちを向いた。


「リム、ゴブリンこっち向いてないか。」

「うん、向いてるね。ゴブリン。」


すると、ゴブリンは何だかよくわからない奇声をあげながら走ってきた。


「くそっ!」


やるしかない、ナイフを構えて対峙する。

よく見れば動きだって大してはやくはない。

大振りのナイフをかわして・・・。


「おら!」


すれちがうようにして首筋にナイフを走らせる。

ゴブリンは叫び声をあげて苦しそうにしているが、こちらに向き直り忌ま忌ましそうに俺を見てくる。

さすがに一撃で倒せるほど甘くはないみたいだ。


「えい!」


俺に気を取られたゴブリンは、後ろからリムに斬り付けられると、呆気なくやられてしまった。


「よし、ナイス囮。」 爽やかな笑顔で、さらっとひどいこと言われた気がする。


一度やっつけると、目的だった10体の討伐はあっという間だった。


「意外と楽勝だったな。」

「私は最初からそう言ってたじゃん。」

「でも、ゴブリン見て超びびってたじゃん。」

「それはコージもでしょ。」

「うっ、それは・・・。」


意気揚々とギルドに戻って受付に行くと、どういう仕組みだか、受付のお姉さんは討伐成功がわかるみたいだ。

リアルだから違和感を感じるけど、ゲームだから当然というか、仕方がないだろう。

まさかゴブリンの首を10個抱えて帰るわけにもいかないし。倒したら消えちゃうしね。


「お疲れ様でした。報奨はこちらです。」


今回得られたのは僅かな経験値と僅かなお金、それにポーションが三つだ。

それでも、初めての報奨は嬉しい。


「コージ。どんどんいこうよ、はやくはやく!」


リムも初めての報奨に嬉しそうだ。


「次は収集系にしようぜ。薬草収集したりすると収集のスキルレベルがあがるらしいし。」


スキルレベルとは文字通りスキルのレベルのことで、これが高いと威力が上がったり範囲が広くなったりする。

収集スキルの場合、レベルが低いと収集できないアイテムがあったりするみたいで、段階的にあげていかなきゃいけないらしい。

収集やアイテムの加工の専門家、生産職ってのもあるらしいが、しばらくは無縁だろう。


「いつかはやらないといけないしね。よし、サクサクいきましょー。」


結局この日はゴブリン討伐の他に薬草収集、荷物の宅配、雨漏り修繕(本当に屋根にあがって板を打ち付けた)のクエストをこなしてお開きになった。

種族レベルはゴブリン討伐で2になってたけど、レンジャーのクラスレベルは3になっていた。

これなら案外さくさくと中級職になれる・・・かもしれない。


次回は日常編、というか学校での様子を一話分挟みます。


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