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合流

一瞬目の前が真っ暗になったかと思ったら、周りに何もない真っ白な空間に立っていた。


「ようこそ、「Another World On-line」へ。」

「うわっ!」


気が付いたら目の前に女の人が立っていた。


「チュートリアルをお受けになりますか?お受けにならない場合は王都に転送致します。」

「うおっ、すげえ、本物の人間みたいにしゃべってるじゃん!」


前評判通りのNPC(ノンプレイヤーキャラクター、人が操作していないキャラクターのこと)にちょっと感動だ。

しかしチュートリアルか、はやく冒険したいのにちょっと面倒だ。


「チュートリアルはいい、街に転送してくれ。」


俺は説明書を読まないでゲームするタイプだ。というか、もう待ちきれない。はやく冒険したくてうずうずしているのだ。


「わかりました。王都に転送致します。」


足元が白く光ったかと思うと、周りの風景が切り替わった。






「すげえ、中世ヨーロッパみたいだ。」


いや、知らないけどね。中世ヨーロッパの町並み。イメージだよ、イメージ。

目の前には噴水やベンチがあって、周りには挙動不審な人が何人かいる。同じプレイヤーなのだろう。


「しかし、リアルだな。」


頬を引っ張ってみたら、微妙に痛かった。痛覚はかなり弱いが、ちゃんとあるみたいだ。


「さて、どうしようか。」

戦闘してみたいが、モンスターの出現ポイントがよくわからない。街からでてみればいいんだろうか。いや、たしかクエストを受けに行く場所があって、お金や経験値、アイテムが得られるはずだ。


「って言っても、場所がわかんねえよ、場所が。」


チュートリアル受けとけばよかったかな、失敗したかも。


しばらく街の中をうろうろしていると、ポーンという音と共に、頭の中に「メッセージが届きました」って聞こえてきた。なんか変な感覚だ。

念じるだけで頭の中にメニューがうかぶ、これまた変な感覚だ。

メニューからメッセージを選んでみると、「差出人リム」のメッセージを見つけた。


「ギルドの前で待っています。」

土原だ。ギルドか、ギルドね、よーしギルド・・・ってどこやねん。


「ごめん土原、ギルドってどこ?」


仕方がない、分からなければ聞くしかないだろう。

「噴水の広場から北、お城の方向に行けばわかると思います。」


しまった、反対方向じゃないか。あんまり待たせてもなんだし、走っていくしかないか。


驚いたことに、走っても走っても疲れないし汗もでなかった。そのへんはやっぱりリアルでもゲームなんだな。

しばらく走ると一際目立つ建物があった。驚いたことに、周りの建物より二周りは大きいし、「Guild」って大きい看板がある。


「コージ?」


名前を呼ばれて振り返ると、金髪に鎧姿の土原がいた。


「土原・・・か?」 土原はニッコリ笑うと、指を突き付けて言った。


「コージ、今の私は土原じゃなくてリムだよ。ちゃんとリムって呼んでよね。」


あれ、土原ってこんなキャラだったか?

案外なりきっちゃうタイプなのか。

まあ、それもそうだろうと従うことにする。


「悪い、リム。ところで、同じタイミングではじめたのに、なんで装備が整ってるんだ?」

「チュートリアル終わったときに装備とかポーションくれたじゃん。それで、まずはギルドでクエストをこなしましょうって場所を教えてくれたし。」


しまった、チュートリアルをこなすと特典がついてきたのか。鎧着て剣をさげてるリム、村人っぽい服装に果物ナイフっぽいナイフの俺。序盤から差がついてしまった。


「あー、チュートリアルしなかったんだ。俺説明書読まないでゲームするタイプだからさ。」

「ふーん、まあいいや。じゃあ、さっそくクエスト受けてみようよ。」


ちょっと呆れられなかったか、今?

いやいや、またお得意の自意識過剰か?


「ところで、何でリムって名前なんだ?」

「えっ、えっと。名前を英語にしてセオリムだから、ブログとかで瀬尾リムって名前にしてて、それでリムにしたんだけど・・・。」


ちょっと恥ずかしそうだな、隼人なんか「キャラ名はレックスにする」とか言ってたくらいだから、名前をもじるくらい普通に思えるが。


「色々考えてんだな、俺なんか名前そのまんまにしたけど、もうちょっとひねってもよかったかもな。」

「考えてるってほどでもないけどね。さっ、クエスト受けにいこう。」


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