そして勝負を……
「人とはこの世で最も有益で、無益な生物なり。沢山の物を操り作り出す力もあり、文明を築く力も凄いとは思いけり。だとしても、一瞬にして文明を無に帰す力を持ってしまっておるなり。我はそんな人を使う事によって電気を生み出しけり」
そう言って、和服を着たドラゴンはこっちを見つつ、そう言いながら手を振るう。振るう事によって大量の人間達が僕達を倒そうと向かって来ていた。まるで完全にゾンビである。
「とりあえず、この人間達は我に任すから、ウサギは逃げる事に集中するのじゃ。そして、ユメとパテカニア、ベータはあのニンゲンドラゴンをやっつけるのじゃ!」
「分かったよ」
と僕達は、敵のドラゴンを倒すために武器を構える。構えると共に、狙いを定める。そしてパテカニア様が炎を作り出してそれを放つ。敵対しているドラゴンは炎の魔法を避けるために、翼を動かして別の場所に逃げていた。そこにユメの弓矢と僕の銃弾が放たれる。
「――――――人の壁を防ごう」
敵のドラゴンは人を壁のようにして、その銃弾を防いでいた。人を壁のように使うって、本当に何でもありだな。
「人とは、とっても良い者なりけり。さぁ、あまり時間をかけすぎると、ガンマさんに怒られるなり。今では我のみがお前らを相手する者なりけりから」
そして、ドラゴンはそう言いつつ、翼を大きく振るう。大きく振るうと人が彼女の上に巻きあがって球となって、球となったそれは一直線に僕達へと向かって来る。
「……名付けて、人間ボール」
そして飛んで来るそれを、僕が凍らせる。それを何発も放つドラゴン。
「火炎の魔法なのです!」
「炎の輪よ、迎えなのじゃ」
そして、セドーマ様とパテカニア様の2人の炎の攻撃は向かって行って、ドラゴンを燃やしていた。そしてユメが弓矢を放って、弓矢から白い煙が現れ出でる。
「今じゃ!」
「……了解」
そしてそのまま、ドラゴンが怯んでいる内に僕達は逃げ出すのであった。そう、僕達の目的は相手を倒す事では無く、魔王城の飛行船に乗る事なのだから。
僕達は先を急いだ。




