忌み名? いえ、ただのネタです
と言う訳で、僕達はまず他の四天王の息子や娘達に会いに行く事にした。実は僕のように他の四天王にも息子や娘が居るのである。まぁ、とは言っても四天王の息子だからと言って強い訳では無いのだけれども。ちなみに四天王らしく、全員二つ名と言うか忌み名のような名前を持っています。
一の四天王、オーガのワルンド・バイアアルパの息子、アクジキ・バイアアルパ。通称、『かませ犬のアクジキ』。
二の四天王、ホムンクルスのガンマ・デーメオンの息子の僕、ベータ・デーメオン。通称、『金預貯金箱』。
三の四天王、サキュバスのアイ・ヘルタハの娘、ユメ・ヘルタハ。通称、『スカイ・パフォーマー』。
四の四天王、ドラゴンのエンシェントの娘、ウサギ。通称、『英雄騎士』。
……何度聞いても、僕とアクジキの扱いが酷過ぎると思うのは僕だけだろうか? いや、別に僕以外は間違ってはいないと思うけれども、それにしたって他にも色々と付けられると思うんだけれども。
「ですよね、『マジ本当可愛すぎて魔界にいちゃいけないんじゃないのと思うくらいの天使』のパテカニア様?」
「待って欲しいです! 私もそんな長い忌み名を許可した覚えは無いです! と言うか、長すぎです!」
と、目の前に居る少女がそう言う。
銀色の腰より長く伸びるロングストレート、吸血鬼を思わせる魅力的な赤い瞳に女性的な魅力的な顔。女性としてはかなり長身な背丈とスレンダーな背丈、白と黒の印の紋様が描かれた紫色の和服のような服を着た女性。
彼女が今、名前を出した女性、パテカニア・アイ様である。
彼女は不満気な顔で、そう言う。
そうでしょうか? 『マジ本当可愛すぎ、超やばすぎ、マジ天使すぎ!』よりかはマシかと思うんですけれども。流石にそっちは問答無用で不許可にされたんですけれども。
「と言うか、忌み名って確か魔王じゃないと決められないと聞いていたんですけど……」
「はい、これはそこに居る元魔王様が許可した忌み名です」
と、僕は今にも逃げようとしていた元魔王様、セドーマ・アイ様の首根っこを摑まえる。
桃色の髪を腰の辺りまで伸ばした、赤い瞳の銀色の肌の美少女。黒いゴスロリドレスの上に黒いローブを羽織り、小柄な背丈と小さくも大きくも無い胸を持っており、歩きやすそうな運動靴をしっかりと履いている。頭には白い大きなリボン付きのカチューシャが付けられていて、黒い月のようなモチーフを付けた魔法の杖を手にしている。
彼女こそ、さっきのパテカニア様の父親、僕達の魔界を統べていた元魔王なのである。
そんな元魔王様は娘に正座を強要されて、お説教を受けています。シュールな光景ですね……売れもしないシュールな光景です。
只今、僕達は戦力アップのためにその四天王の息子や娘達を勧誘しようとしています。だって僕以外全員連絡手段を持ってないんですもの。持っていても、あまりにもローカルな手段過ぎて使えなさすぎる。だからこそ、こうやって今、僕達は四天王、息子や娘達の勧誘に向かっているのである。
今目指すは、『かませ犬のアクジキ』ことアクジキ・バイアアルパの住まうとされる険しい山、ダラムヤマ。
「と言うか、お父さんの癖に私より胸が1カップも大きいとは何事です!」
「いや、これ『転生壺』のレガシー、女魔法使いのミト・アイの体格だから……」
「問答無用です、お父さん! 良いからスレンダーの一言で片づけられてしまう私達の気持ちを理解してくださいです!」
……何かパテカニア様がセドーマ様に詰め寄っているんですけれども。
と言うか、やっぱり少しは気にしていたんですね。そのスレンダーボディ。一応、売れるには売れるんですけれどもね。その身体でも。一部のマニアには。
まぁ、良いんですけれども。とにかく今大事なのは、アクジキ・バイアアルパなんですので。とりあえず集中して欲しい物です。




