奥と再会
僕とユメの2人は白衣スケルトンが守っていた洞窟の奥へと向かっていた。
「……いったい、何があるんでしょう?」
「さぁな。研究者はあまり金回りが良くないから、金品は期待出来ないな。あるとすれば、高価な研究資材だろうか?」
「……そ、そう言う考え方しか出来ないのですか?」
何を言う。僕は僕なりに何があるかを考察しているだけである。
物語や冒険譚でも、大抵守護者の奥には宝物がある物だ。最も宝物は高価な物でない可能性もあるけれども、大抵は高価である。白衣スケルトンは研究者みたいだったので、ここは高価な研究資材があると考えるべきであろう。僕の考えは間違っていないだろう。
「……で、でも、あの何か向こうから明らかに何か人の気配がするんですけれども……」
と、そう言って洞窟の奥、明るく照らされる光を見てそう言う。明るく照らされる光の真ん中には誰かの影だと思われる物が見えるし。誰か居るのは確かだろうな。
「……研究員? それとも研究していた者だったりするのだろうか?」
「関係者って事はありますね」
そう言いつつ、僕はユメと共にゆっくりと近付き、その中に居た人物に驚いていた。
「……!」
「ど、どうして、こんな事って……」
僕とユメが驚きに出した声に気付いて、中に居た人物がゆっくりとこっちを向く。
両腕に銃を持った、全身に雷を纏った男性。
生前と違って白と灰が混ざった髪を腰の上辺りまで伸ばしており、薄黒い金色の死んだような瞳をしている黒色のジャージを着た男性。そして凛々しい顔の頬の部分には『愛』の一文字が刻まれている。
「やぁ、ユメ。そして愛すべき息子、ベータよ。こんな所で会うとは奇遇だな」
そうやって、ニコリと笑うその男性は、そのまま僕達を中へと迎え入れた。
「え、えっと確かやられたと聞いたんですけれども……」
「な、なんでここに……ちゃんと死んだと聞いたんですけれども……」
どうして居るのだろう?
いや、その前にどうやって生きたのだろうか?
「驚いているようだね。でも、これも愛のためだったんだよ。愛のため、僕は君達を愛するため、敢えて君達を騙さなければいけなかったんですよ。それを許して欲しい。全ては愛のためだったんだから」
そうやって、『愛』を連呼する彼を見て、僕は彼の名前を呼ぶ。
「なんでここに居るんですか?
―――――父さん」
それは魔王、セドーマ・デーメオンの四天王の第2の四天王、ガンマ・デーメオン。僕の親を引き受けてくれていたホムンクルスだった。




