《実験》と《戦闘》
白衣スケルトン、スケルトン・アトムはその変形した身体を操り、蜘蛛のような6本の腕を振るう。6本の腕から蜘蛛の糸を放ちながら、ウサギに向けて攻撃する。
「蜘蛛の糸の実験!」
スケルトンの攻撃に対して、ウサギは槍を振るってその蜘蛛の糸を斬っていた。その後、彼女は彼の腕も槍で斬ろうとするが、やはりドラゴンの素材を使っているだけあってその身体は硬かったみたいである。その事にウサギは歯ぎしりをする。
「こんな形で私と同じドラゴンの身体によって阻まれる事になるとは……。けれども、その身体にドラゴンらしさは感じられませんね」
「当たり前だ。ドラゴンの素材を使っているだけで、骨格自体は昆虫に近い。今のぼくはドラゴンと言うよりかは、昆虫に近いのだ」
そう言いつつ、スケルトンはその蜻蛉のような複眼をキョロキョロと動かして、辺りを見渡している。
「気味が悪い……けれども、倒すしかない」
「果たしてそれが容易いと言えるかな?」
彼は蜂のような4枚の羽を動かして、羽音を出す。それは音の壁となってウサギへと向かって来る。
「音響実験!」
「……くっ!」
音の攻撃に対抗するために彼女はその槍を高速で回転させて、それから生まれる風圧によってその攻撃を防いでいた。
「風圧か……悪くない《実験》だ」
「違う、これは《戦闘》」
「同じ意味さ。君は戦う事を《目的》として闘争を行っており、ぼくは戦う事を《手段》として闘争を行っている。
ぼくとしては戦争の際に自分が考えた《研究》が満足だし、君は自分が得た《戦闘》を使えれば満足なんでしょ?」
「……」
「では、《実験》を開始しよう」
彼女はそう言って、飛蝗のような脚で屈伸し、そのまま跳び上がる。
「跳躍の実験!」
「……また《実験》」
そう言って、槍を構えるウサギ。そして狙いを定めて、一気にその槍を振るう。そして跳び上がったスケルトンを壁へと吹っ飛ばす。
「カハッ……!」
そう言って倒れるスケルトン。
「……骨も跳ばすば撃たれまい」
ウサギはカッコよく言うが、怪我をしているが意識のはっきりしているスケルトンは「ハハハ……」と笑う。
「それを言うなら、『雉も鳴かずば撃たれまい』だ。良い事を言っているようで悪いけど」
「……!」
ウサギは顔が赤くなるのを抑えつつ、彼の心臓めがけて槍を突き刺す。
「……止め!」
「ぐふっ……!」
そして、スケルトンは大量の血を吐く。そして胸から大量の血を流して死亡する。その血は青ざめて気持ちが悪くなるほどに、とても――――――青かった。




