変形と激怒
バキボキ。
彼の腕があらぬ方向に変形する。
ガキゴキ。
彼の足が見た事のない形に変化する。
ギギガガ。
彼の身体が奇怪な姿に変貌を―――――――遂げる。
そうして出来上がったのは、奇形へと変異したその身体はまさしく怪物その物だった。
「魔界における攻撃力と防御力に長けた最強種の魔物、ドラゴン。その鱗と翼は他者を圧倒する強力すぎる魔物。しかしドラゴンはあまりにも動きづらいと言う欠点がある。
だから、精密な作業が出来る虫の姿形。
脆弱さを補う為にドラゴンの身体を、そして精密さを補う為に昆虫の姿を。
それが、”戦争者”のぼくだ」
そう言って、出て来たのは本当に気味が悪い生命体だった。
蜻蛉のような沢山の眼を付けた複眼。
蜂のような4枚の羽。
蜘蛛のような6本の腕。
飛蝗のような強力そうな脚。
そして全身を覆うドラゴンの鱗と皮膚。
「名付けて、ネプチューンドラゴンだ」
そう言って、彼は「ハハハ」と笑う。
「さて、これから喰らってみるか。ぼくの技を」
白衣スケルトンはそう言いながら、背中の羽を羽ばたかせる。すると衝撃波が生まれ、生まれたその衝撃波は僕達に飛んで来る。
「あ、危なっ!」
僕は慌てて避け、ユメも避ける。
「まだまだ。ぼくの昆虫技はこれくらいではすみませんよ?」
そう言いながら、白衣スケルトンはその蜘蛛のような腕を向けて来る。
「この奥にはいかせないよ? 絶対に行かせないよ?」
あからさまに奥に何かある事をほのめかせながら、彼は後ろに行かせないように腕を広げる。
「――――こいつは私にお任せ」
そう言って、ウサギは目の前に出る。
「こいつは龍を馬鹿にしている。
―――――龍を装飾品にするのは、許せない」
そう言って、ウサギは白衣スケルトンに向かっていた。僕達は白衣スケルトンをウサギに任せて、彼が守っていた奥へと向かった。




