マネキネコは策を話す! 真実は勇者に揉み消される!
僕は施設へと出て行ったマネキネコを追っていた。しかし、遅い。マネキネコは本気で逃げる気は一切なく、歩いているのと同じ速度で、背後を確認するようにこちらを見ながら笑っている。それだけだったら追いかけやすいんだけれども、途中で後ろを確認しながら爆発物を捨てて攻撃していてなかなか素直に追う事が出来ないのだ。
「くっ……! 追いかけづらい!」
僕は銃を撃ってマネキネコを倒そうとはするんだけれども、良いタイミングでマネキネコが爆発物を使ってなかなか攻撃出来ない。後ろを見て投げるタイミングが絶妙すぎてなかなか追う事が出来ないのだ。
そして外に出たら、マネキネコは歩くのを止めていた。
「……ここまで来ているのだったら、そろそろ話して大丈夫かニャ?」
「ん……?」
何、しているんでしょうか? 『そろそろ話して大丈夫かニャ』なんて、まるで裏切る気満々の台詞だし。
「お前は裏切る気があるかニャ? なんかあの魔王達一行から離れたがってるようだニャ。だから勧誘できるかと思ってニャ」
「勧誘……か」
とは言っても、こいつらの組織がどのような組織か分からない以上、力を貸す事は出来ない。今の所、魔王様達の所に居る方が実入りの方が多いからこいつ、マネキネコが居る組織でどれだけ金が手に入るか分からない以上、簡単に入るとは言わない方が良いだろう。
「そうか、ニャ。まぁ、私達の組織の事を知らないなら、ちゃんと説明しておかないといけないかニャ。私達の組織の正体とは……」
しかし、それを彼女が言い切る事は無かった。何故ならば
「ふぅ……。大丈夫でしたか、なのでして」
そう言って、勇者のレインがいきなり空から現れて倒してしまったからである。しかも完膚なきまでに。
「まぁ、助けて貰って嬉しいんだけれどもなのでして」
そう言ってレインは決め顔をするが、僕にはどうも彼が無駄に邪魔したようにしか思えないのだけれども。




