当たりか外れか! 真実はお湯の中!
「で、私を呼んだのはどう言う訳かニャー? お客様?」
夜8時、僕は魔王様に頼まれてこの街の実質的な管理を任されているマネキネコ・バスを呼び出した。ここはテクシス温泉街のマネキネコ・バスが運営する施設、マネキネコ送電施設へと向かっていた。10階建ての銀色のビルで1階は大浴場施設として今も温泉が湧いていて、ビルの屋上には金色のマネキネコがシンボルマークのように置かれている。この3階に今居るのは僕、セドーマ様、パテカニア様にユメ、そしてマネキネコの5人である。マネキネコだけは事情が分からないと言う感じで、首を傾けている。
「明日も色々と予定が立て込んでいるのニャー。時間はないので、手短に話を済ませるニャー」
「あぁ。わしもそう思う。故に手短に話を済ませてやる」
セドーマ様はノリノリらしい。それは頭の上に探偵帽子、服の上に茶色いジャケットを羽織って虫眼鏡を持っている所から見てもそれが垣間見えている。どこの探偵気取りと言う話ですけどね。
「―――――――犯人はあんたじゃ、マネキネコ・バス」
セドーマ様は探偵のような格好で、探偵のようにマネキネコ・バスを指差していた。
「いきなりなんなのニャ。いきなりそんな事を言われても困るニャ」
「言い方が悪かったのう。この温泉街を作った目的が分かったので、お前を捕らえるのじゃ。パテカニア」
「了解なのです!」
パテカニア様はそう言って、ちょちょいと魔法式を書いてマネキネコを捕らえる。パテカニア様の魔法はそんじゃそこらの術者では破けないくらい強いので、マネキネコは逃げる事は出来ないだろう。
「ベータ」
「了解しました」
僕はそう言って、『生体銃』を構えてマネキネコの頭に銃口を押し付ける。
「な、なんなのニャ? 何をするきかニャ?」
「このテクシス海岸で温泉街を開いた。その目的は経済発展では無く、温泉を作る事だった」
「そう。お主の狙いは温泉その物じゃ。もっと言えば温泉が出来る要因、つまりは地熱がお主の狙いじゃった」
「な、なんの事だかさっぱりだニャ!」
「温泉を作り過ぎなんじゃよ、お主は。
このテクシス海岸は海は汚染されていて、使い物にはならないが、砂浜は別じゃ。砂浜に地熱箇所を大量に作り出し、その上にカモフラージュ的な意味合いで温泉を置く。そしてお主は観光目的の客ではなく、その地熱である物を作り出しておったのじゃ。
お主が作っていた物、それは電気じゃろ」
「……ニャ!」
そう。これがセドーマ様の考えた推理。この温泉街で一番最初の施設はあのキャバクラだったのだが、この温泉街で一番場違いな場所。それがこの送電ビルだったのだ。他の建物は観光客などの人に媚びるためのサービス業だったのに対して、この送電ビルはそのサービス業に当てはまらない。故にこの送電ビルこそがマネキネコ・バスが本当に作りたかった物と、セドーマ様は予想した。
「お主は電気をどこに送っておるんじゃ! さぁ、白状してもらおうかのう」
そう言うセドーマ様に対して、マネキネコは1人”ニヤリと笑った”。




