海を探ろう! ワーキャットはニコリと笑う。
異様な姿のワーキャットを見つけたセドーマとパテカニアの両名は、その者が居るお店、『赤猫亭』で食事を取っていた。
『赤猫亭』、そこは温泉がある食事処であった。綺麗さはまあまあ、食事の美味しさは少し美味しいと思えるくらい、そして温泉が放つ熱気が店の中に広がる、そう言うお店であった。
「うん。ちょっと美味しいくらいですね、セドーマお父さん」
「いや、魔王城に居た時に食べておったのはそれなりのシェフに作らせておったから美味しいだけじゃよ。ここも海岸の温泉旅館にしては美味、なんじゃよ」
と、魔王城でぬくぬく暮らしをしていたパテカニアはそこまで美味しくないと申して、世界の美味しさの基準を知るセドーマはなかなかの物だと評価する。
「しかし、ただ蒸気がちょっと目に染みるくらいにしか思えんが、あのワーキャットは何を考えておるんじゃ?」
「そう、ですよね。確かにちょっと温泉がいらないと思うです」
この上記さえなければ良い店なのになー、と2人が感想を述べていると、ゆっくりと近付いて来る人物が居た。
「ニャッハハハ―――――! すまないニャ。ここはこう言う物なのニャ」
と、黒を基調とした拘束具のような服、そしてその服の背中には『地熱』の二文字が刻まれているワーキャット、マネキネコ・バスがお盆の上に3つの商品を載せて運んでいた。
いきなり背後から現れたマネキネコにびくりと驚く、セドーマとパテカニアの両名。
「「……!」」
「驚かせるようですまなかったニャー。けど頼まれた料理をお持ちしましたニャー。
はい、マタタビチャーハン2つと魚介スープをお持ちいたしましたニャ~。後はごゆっくりニャ~」
そう言って、マネキネコは料理を置いて奥へと引っ込んで行った。
「「……………………」」
食えない相手だと2人は思ったのであった。




