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魔王の娘と四天王の息子  作者: アッキ@瓶の蓋。
第3話 愛に生きる女

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愛の屋敷

「ゆっくりしていってくださいね。私はお料理の準備を始めておきますゆえ」



 ユメはそう言って屋敷の奥、食堂へ歩いて行った。恐らく本当にお料理の準備とやらをしに行ったのであろう。本当にサキュバスらしからぬサキュバスである。こう言う場合のサキュバスとしては彼女の行動はあまりにもサキュバスらしからぬ。ああ言った所がユメ・ヘルタハが苦手な一因である。



「じゃあ、僕はさっさと部屋に戻っておくよ」



 僕、ベータ・デーメオンはそう言って部屋へと戻って行った。やはりユメは苦手である。この場所が終われば僕は早速別の場所へとトンずらしよう。何せこれ以上は僕に何のメリットもないのだから。メリットが無い以上、こんな所とはおさらばである。



「それにしてもあいつは化け物か」



 この屋敷、ユメ・ヘルタハの屋敷は1人で住むには広すぎるくらい広い。本来、サキュバスは多くの人間を住まわせる。しかもその多くが異性だ。

 その理由としてサキュバスにとって精液集めは一種のステータスと相違ないので多くのサキュバスは非常時でも精液、もしくは愛液の補充が出来るように異性を住まわせるのである。この屋敷も元々はそう言った大人数の同居を可能として建設されていて、そしてその者達を奴隷や家政婦(メイド)のように家を掃除するのである。

 そんな大人数で掃除するような家の隅々まで綺麗にするユメの家政婦ぶりには恐れをなすが、



「……それ以上にあの魔力はいやはや多いと言えるだろう」



 人間は生まれながらにして魔力の量がある程度決まっている。けれどもこと魔族に至ってはそうでは無い。



 昆虫族は幼体と成体の魔力は量も違えば質も違う。竜族も同じく幼体と成体に違いがある。魔王様に至っては初期から他の魔物とは一線を画すほど高く、さらには魔王様に成られた際にはその大きさは格が違う。最もセドーマ様は勇者の必死の一撃に負けてしまったが、仕方ない。そうなる運命だとしか言いようが無い。

 それとは違い、サキュバスなどの夜魔族は基本的にどれだけ搾り取ったが重要になって来る。要するにどれだけ精液や愛液を搾取したかによって魔力の大きさや質が変わって来る。

 下世話な話かと思うかも知れないが、事実問題としてそうなのである。故にサキュバスの世界では身持ちが硬い者が弱く、世間一般においてビッチと呼ばれる者が強い世界なのである。



「ユメは明らかにサキュバス族からしたら身持ちが硬い方だ。けれどもさっきセドーマ様が言っていたが、ユメの魔力は明らかに普通のサキュバスからしたら桁違いに多いのだと」



 勿論、魔王であるパテカニア様やら、勇者パーティーの魔法使いであるミト・アイを元に転生したセドーマ様には及ばないしても、それに及ぶくらい彼女の魔力は多いのだと言う。何が故多いかは分からないが、魔力が多いと言う事はそれだけ強い事にもなる。



「返答如何によってはユメが仲間になったら……まぁ、便利にはなるだろうがわざわざ僕が居る必要も無くなるだろうな」



 ベータ・デーメオンの役割はガンマ・デーメオンがそうであったように武器作成が生業(なりわい)。元からそう強くはない。僕の他にパテカニア様を世話するのがセドーマ様しか居なかった故に着いて行った身である。今では元勇者のレイン、もしかするとユメも仲間になるかも知れない今の状況では、戦闘に向かぬホムンクルスなんて要らないだろう。



「さて、じゃあうちの姫様のためにもユメ・ヘルタハを勧誘すると致しましょうか」



 そう言って僕は重い腰を上げて、ユメの所に向かった。

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