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瀬戸陽子・高校生編(再投稿:シリーズ連載版)  作者: 瀬戸 陽子


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4/7

#04:文化祭の前夜

高校生編の短編連作(再投稿)です。

2014年 秋


いつもなら誰もいない時間の校舎。


今日は特別だ。


廊下のどこかに、まだ熱気が残っている。



鍵は開いていた。


電気は時間で落ちるらしい。


懐中電灯を点けるのも、みんな慣れた手つきだった。



真っ暗な音楽室。


懐中電灯の輪が譜面を切り取る。


床に靴底と譜面台の金属音。


窓の隙間から冷気が一筋入り、紙の端が揺れる。



「おつかれ」


袋が裂け、缶がカランと鳴る。



「ほら、陽子も」


掌で冷たさを確かめ、縁を指でなぞる。


『うん、乾杯』



カラン。唇が缶に触れる。


ピアノの低い音が静かに伸び、床の音と缶の余韻が重なる。


懐中電灯の輪が移り、譜面の白が連なる。



譜面に指を置いたまま、足先で軽く拍を取る。


誰かの鼻歌が短く漏れ、すぐに消える。



光と音と冷気が、同じ場所に集まっている。


缶をもう一口飲み、譜面の端をそっと直した。


表情がほんの少しだけ変わった。

次話:#05:文化祭の朝

2026/2/05 08:00に更新します

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