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短編小説

遺言

作者: 歌池 聡


※しいなここみ様主催『華麗なる短編料理企画』に出品しています。



僕がこの世を去ったとしても

湿っぽい葬儀は勘弁してほしい


出来れば参列者みんなでカレーを作りながら

ワイワイと賑やかに送ってくれるとうれしい






祭壇に豪華な花なんていらない

湿っぽいBGMも勘弁してほしい


ただ僕の大好物の君のカレーだけは

祭壇に供えてくれるとうれしい






『人生最後の食事はカレーがいい』なんてよく言ってたけど

どうやら先生はゆるしてくれそうにもない


だから君にだけこっそり頼むんだ

これだけは叶えてくれるとうれしい






最後のお別れの時があるだろ

棺桶の中にこっそりカレーのスパイスを忍ばせてほしい


僕の骸が焼かれて骨になっていく時に

カレーの香りに包まれていると想像するだけでうれしい






皆が僕の骨を拾う時

辺りにはカレーの香りが漂っていることだろう


皆で『最後までカレー好きのあいつらしいよなぁ』なんて

笑い合いながら拾ってくれるとうれしい






僕は先に向こうに行ってしまうけど

君にはできるだけ長生きしてから来てほしい


そのあいだに君好みのカレーが作れるようになっておくから

向こうで一緒に食べる時を迎えられたらうれしい








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― 新着の感想 ―
二皿目いただきました。 いや、もう泣いてまうやろ〜。 ん〜切ないよ。 遺言に込められた思い、カレー好きの方、最後の言葉が染みます。 ご馳走さまでした。
 こうきたか……って唸ってしまう一品でした。  ただ、ジャンルを『詩』にしてしまったのは失敗だったようで。(笑)  身内の誰かが発見して苦笑してたとかの形にすればよかった?  でも、それだと味わいが違…
先生がカレーを許してくれない病状だと、末期癌とか、それ系の結構重い病気…………かな? すでに許してくれないぐらいだと、手も震えて字を書くのも大変なレベルだよな。 これは今現在書いている最中なのか、読ま…
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