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第9話
フィリス王子…大丈夫なんでしょうかぁ…」
クルーラ(ウ)【通称クルーラ】は額を汗でどっと湿らせながらオロオロとただただ城門前をうろついていた。
「もしかしたら…もう王子は戻って来なかったりして…まさか…まさかぁ…」
頭の中でもんもんと良くない妄想を風船のように膨らませていくクルーラを,2人の完全武装の鎧を纏った門番が何かじと~っとした目で見ていた。
重たい鎧でつっ立っている彼らにとってはブンブンとうるさく飛び回っているハエのような存在だ。
彼らの心中は「早く帰れ」と書いてあるに違いない。
しかしそんな思いをよそに,クルーラの妄想風船はむくむくと膨らんでいく。
「あぁ…やはり王子は暗殺者に襲われて…そして王子は首に―――うわあぁぁあぁっっ!!」
クルーラの妄想風船がバンっと爆発した。
余りの気迫に門番の体がビックぅっと反応する。
遅くなりましたっ
スミマセン,本当に御免なさい!!