第8話
~クランセイス城門前~
クランセイス城門前でオドオドと落ち着きの無い一人の女性が居た。
その女性を2人の完全武装の鎧に身を包んだ門番が迷惑そうに見つめている。
緩くウェーブのかかった金髪のロングヘアは過剰に動き回る女性の体のせいでボサボサにあちこちが跳ね上がっており,まるでくしを通していない寝起きの髪のように荒れていた。(本人は全く気にしていない むしろ気付いていない)
深い森のような深緑の大きな瞳は涙で塗れていて,唇はわなわなと震えている。
女性の色白のか細い両手は自分でも知らず知らずの内に膨よかな胸の上で冷汗と共にがっちりと硬く組まれており,震えている所を見ると相当の心配事が彼女の元で渦巻いているのだろうか。
クルーラウ・ジュリィア・クランセイス
こう見えてもこの城を守る一軍の隊長で,愛用の細身の魔宝剣“インカローズ”の剣さばきは天下一品だ。
しかし感情に振り回されやすい彼女はいつも些細なことで狂ったようにおかしくなるのが欠点。
今まさにその些細なことでおかしくなりかけているのだ。
彼女がこうなってしまった時は,なるだけ優しく彼女に接することで(時々)落ち着くことがある。
少ない…ですかね??
スミマセン…(汗)