第24話
ハルトがルキトに向き直り,精一杯の笑みを作った。
「ありがとうっっ!」
「お…おぅ!」
ルキトはフードで顔は見えないものの,恥ずかしそうに視線を落とした。
「ルキト…」
ハルトがポツリと呟いた直後だった。
ハルトが今見ていたはずの風景が一瞬にして霧散し,体を真っ白な濃霧が包み込んだ。
「冷たい…」
ハルトは冷気を纏った霧の中で,静かに目を閉じた。
「うぅ~,さっき黒猫を見てしまいましたよぉ~…これは何か不吉な出来事が起こりそうです…」
クルーラは先程城内の廊下をささささ~っと横切っていった黒猫の事で,また爆発寸前の妄想風船に空気を入れていた。
「あの不吉な黒猫はきっと誰かのSOSサインで…それでハルトさんみたいなすっごく優秀な剣士さんの叫びが具現化したもので…」
そこまで考えてクルーラはああぁぁ~っと髪を掻きむしった。
「ダメダメッ!もっと考えたらまたハルトさんに怒られちゃうっっ!」
ハルトは自分でもっと妄想したい気持ちを抑え,その思いを吹っ切るようにだーっと廊下を全速力で駆け出した。
久々っすかね~?
これを見てくれたヒトっ!
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