第二話
「ルフィシャ!今日も…」
ルフィシャの元に駆け寄ってきた少年の顔にルフィシャの右こぶしがめり込んだ。
漆黒のごとし黒髪に透き通った美しいくりくりとした瑠璃色の瞳。
格好は他の者と同じ平服の,何の変哲も無い普通の少年―――に見える。
フィリヴァス・アンドーレ・クランセイス 通称:フィリス
この国の国王の実の息子であり,次期国王後継者の立派な貴族だ。
しかしフィリス本人は大の貴族嫌いで,自分の金髪を真っ黒な黒髪に染めている。
その為服装も貴族特有の宝石がジャラジャラと付けられた無駄に豪華な服装ではなく,深緑の襟付きTシャツにごく普通のGパンスタイル。
つまり貴族嫌いの王家の血を引く貴族なのだ。
このところフィリスは頻繁に城を抜け出してはこの店にタダ飯を食べに来るのだ。
しかもフィリスがいつも平らげる皿の数は計り知れない。
お陰ですっかりルフィシャの商売上がったりなのだ。
「王子さんは王子らしく一流のシェフが作るフォアグラでも食っとけ!」
ルフィシャがフィリスに外見からは想像も付かないほどの暴言をフィリスに吐いた。
気が強いのである。
どうも,シイハです。
このシイハの妄想ワールドを読んでくださって本当にありがとう御座いました。
これからも下手ながら昇進できるよう,頑張りますので宜しくお願いいたします。