第15話
―――光―――
フィリスの手から眩いばかりに白い光が放出され,相手の赤黒い光とぶつかり合った。
ガキッッ!
双方の魔宝から溢れ出した異なる魔力がぶつかり合い,反発した魔力で風圧が巻き起こる。
その風に巻き上げられた砂や土が一瞬にしてカーテンのように少年とフィリスを覆った。
「――っ,王子!」
ハルトが目を細めながら纏わりついた自分の髪の毛を掻き分け,フィリスに向かって叫ぶ。
しかしその声もゴオオッという風の音に全て揉み消されてしまう。
そして今度は砂煙の中でも赤々と白き光と押し合っていた赤黒い光が白き光に呑まれた。
ズシャアァっ
「うわっ!」
砂煙の尾を引いて煙のカーテンから先に飛ばされ,地に寝そべったのは少年の方だった。
両手には既にあの赤黒い光を失った大剣が握られており,魔力や気配に敏感なハルトでさえその少年の魔宝剣からは魔力が感じられなかった。
「分かったか,クソガキ。おめぇはやっぱりまだガキだ」
ぶんっとフィリスが剣を振るうとそこでもうもうと舞っていた土煙が一瞬にして吹き飛び,視界が開けた。
「――っ,やっぱりお前も貴族じゃねぇかっ!その瑠璃の瞳で薄々気付いてたが貴族の中でも王族の血ィ引いてるだろっっ,お前っっっ!」
少年が大量の涙を目に浮べながらフィリスに叫ぶ。
フィリスの黒かった髪はいつの間にか明るき光を放つ金髪へと変化していたのだ。
はぁ…今日も結局少年の正体が分からなかったな。
この調子だと明日もまだ分からずじまいで終わってしまいそうだ。
だがこれだけは断言する。
次話で何故フィリスの髪色が金に戻ったのかが分かるぞ,絶対だ。
これだけは私も堂々と胸を張って言おう。
…そろそろフィリスを探しに行かねばならない…次話も是非チェックしてやってくれ。