第一話
「ふふ…遂に封印が解かれた…古の魔宝剣が間もなく復活する。蒼の戦士と共に……」
「ルフィシャ!タダ飯食わしてくれ~っ!!」
爽やかな秋の風に染まるかのように赤々とその紅葉を茂らせる,楓の大樹が道に沿って広がっていた。
ここは異次元に存在するといわれている大魔宝大陸,クランセイスの首都“アルシラ”の街。秋の匂い漂うこの街は毎年行われる“収穫祭”の準備で大いに賑わっていた。
アルシラの商店街の一角に店を構える喫茶店O・pealは,今まさに清々しい開店を迎えようとしていた。
レトロな雰囲気漂う店内には美しいバイオリンの音楽が響き,(レコードテープ)それはそれは優雅な朝を迎えた―――はずだった。
その清々しい雰囲気を粉々に粉砕する声がO・pealの店内…コーヒー豆をひいていた少女,ルフィシャ・ルクノール・アルシラの耳に嫌というほど飛び込んできた。
少年のうっとおしいほどに良く通るアルトの声で「ふ~ん,ふふ~ん♪」と気持ち良さそうに歌っていた天使の様な鼻歌がピタリと止む。
白い輝きを放つ銀髪をポニーテールに束ね,銀の毛先は丁度腰の辺りで銀の光を振り撒きながらゆらりゆらりと揺れていた。
両目を閉じてコーヒー豆をひく機械のハンドルを回していた手も鼻歌と同じく止まった。
ルフィシャ・ルクノール・アルシラ このアルシラの末裔で,元豪族の18歳の可憐な少女だ。
昔のようにもう権力や勢力は無いものの,光の様な銀髪に紫色の瞳と,容姿はまさにその可憐なる豪族の面影をしっかりと残している。
そのルフィシャの家族が経営しているここ,O・pealはアルシラでも有名な茶店で,中でも秘伝のレシピで作ったアフタヌーンティーはクランセイス国王の御用達メニューでもある。
ども,シイハです。
マイペースで進めていくつもりなので,「あれ?今日の分はまだかな?」という場合も有り得ます。
しかし最低でも一週間に一話は更新する予定なので,これを呼んでくださった方,評価だけでもしてくれれば幸いです。
by,シイハ