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野外演習

 ルナの魔術講義とクラーラさんとアンリ先生の魔法講義が始まって、一か月ほどが経とうとしていたころ、クラス単位での野外演習が行われた。

 魔力というものがあるこの世界では、空間の魔力や魔法師や魔術師の体内からあふれ出した魔力によって、動植物や鉱石が変位することがある。

 植物は回復薬の下となる薬草に、鉱石は武具の素材となる魔鉱石に、そして、動物は魔力を取り込み体内に魔石を作り出し魔物となる。

 魔物は体毛や肉が変位し、毛皮は高級衣料の素材になり、肉はものすごくまずいが栄養価が高い。

 特に魔石は価値が高く、魔物の大きさによって魔石の大きさが変化する。そして、魔石は魔道具の素材になる。

 だから、魔物の討伐は魔法を使うものにとっては一番といってもいいほどに大事なことなのだ。

 野外演習というのは主に魔物の討伐をこなしながら、薬草や魔鉱石の収集に努める行事なのだ。

そして、一学期の実技的な研鑽の発表会でもある。なのでみんな張り切っているのだ。

さらには魔女の茶会に呼ばれるチャンスにもなっているため、ここで活躍し、魔女から星をいただく学生もいるらしい。

「よし、みんな精一杯頑張ろう。」

 僕はみんなにそう声をかける。

 僕たちは六人班なのでみんなというのは、ローグ、ユン、アルル、メルル、ルナ、そして僕の六人である。

「そういえば、みんなも星集めを目指しているの?」

「もちろん、魔女にもあってみたいしね。」

 他のみんなも同じく首を縦に振った。全員、意思は同じくしているらしい。

 そんなことを話していると、先生が野外演習の開始を宣言していた。いろいろな注意喚起やルール説明を行っている。

 一通りの説明が終了すると、ついに野外演習が始まった。

 開幕と同時にすべての生徒が一斉に駆け出した。

 僕たちもその波に乗りながら進む。

 五百メートルほど進むと、森の中でそれぞれのルートに分かれることになった。

 ぞろぞろと魔物が出てくるようになる。

 戦闘はローグと僕が抑え、中心にアルルとメルル、後衛にユンとルナが並び、戦闘を始める。

 ローグの土と僕の風の壁で魔物の進行を抑え、アルルとメルルの魔法で、正面の敵を倒し、ユンとルナが後ろの本陣を壊滅させるという作戦で魔物を迎え撃って行ったのだが。

 あれから、二キロほど進み、森の中心より奥に進んだころから、魔物がきっぱりと出てこなくなった。

 不思議に思い、全員に警戒を呼び、周囲に注意を払う。

 その時、急に草むらが揺れた。

 そこから現れたのは同じクラスの男女だった。

「お、おい、逃げろ。ここに居たらまずいぞ。」

 その男が口にした瞬間、森の奥からものすごく大きな物音が近づいてくる。

「な、何、この音。」

「ま、魔物だ。魔物の大群がこっちに近づいてきている。逃げたほうがいい。」

「いや、音からして、もう間に合わない。ここで迎え撃つよ。」

「おう。」

「了解。」

 僕たちの部隊は戦闘態勢をとった。

 頬に冷や汗を垂らしながら、待っていると、草むらから一匹の魔物が現れた。

 が、そのまま、僕たちの後ろへと走り去っていく。

 それに続いて、魔物の大群が駆け抜けていく。

「お、おい、これって。」

 ローグが口にする。

「これはまずいね。この子たちは僕たちを追って来たんじゃない。何かから追われてきたんだ。さっきの中にはそこそこの大きさの魔物もいたよ。」

「それってさ、まずいよね。」

「それってさ、まずいです。」

 そう、そのことから導き出される答えはつまり、

「化け物がいる。この先に。」

 そういうが早いか、森の奥から、何かが飛んできた。

 振り返って見てみれば、そこには木に染み付いた魔物の残骸があった。

 森の奥から投げ飛ばされたそれはもはや見るに立てないグロテスクなものとなり果てていた。

 それに続くように森の奥から雄叫びが聞こえる。

「とりあえず全員逃げろ。」

 その言葉にクラスメイトの男女はすぐさま走って逃げ去ったが、ローグたちは動こうとしない。

「逃げろっていうけどよ、お前はどうするんだよ。」

「残る。少しでも時間稼ぎをする。」

「なんでよ、逃げるならみんなで逃げようよ。」

「僕は特待生だ。魔法の実力で選ばれたからここに居る。僕が残ればみんなが生き残る確率が上がる。みんなは先生たちを呼んできて。」

「アルル、了解。」

「メルル、了解。」

「二人とも⁉」

「それが一番可能性あるよ。」

「みんなもわかっているです。」

「っ。」

 みんなは黙ってここから去っていく。

 その時だった、二度目の投擲が来る。今度は大きな岩だった。

 僕は岩の先にいたルナをかばい横に飛ぶ。

 この時、みんなとは分断されてしまった。

 ある意味好都合だったし、最悪の状態ともいえる。

 みんなが僕をあきらめるのには十分な理由ができたが、今度はルナを巻き込んでしまった。

 ルナを守りながら戦うのは無理がある。

「私のことは気にしないで。私も自分で戦うから。」

 今回ばかりはルナには自分のことは自分でしてもらうとする。

 さぁ、戦わんとばかりに姿を現した、全長二、三メートルはありそうな熊。

 僕も、魔法と魔術が同時に使えるように杖の用意をする。

 さぁ、戦闘準備が完了した。臨戦態勢といったところです。

 雄叫びと一緒に熊はこちらに突進してくる。

「強化!」

身体強化の魔法をかけて、横に回避する。

ルナも難なく回避できたようだ。

熊が木にぶつかり、一瞬ひるんだすきに魔法を打ち込む。

「嵐龍。」

 クラーラさんたちとの特訓の成果だろうか?熊がひるみから回復するまでの間に魔法を叩き込むことができた。

 ルナも隙があれば魔術でサポートしてくれる。

 僕は体術を身に着けているので、一歩、また一歩熊に近づく。

 熊も、一歩ずつ警戒を強める。

 先に動いたのは熊の方だった。僕は熊の攻撃を受け流し、さらに魔法を乗せた拳を打ち込む。

 それが、熊の逆鱗に触れたのだろう。

 熊は一目見てわかるほど激怒し、大地をたたき割る。

 それにより、なんと、地面の崩落が起こってしまった。

 それに巻き込まれた、ルナの下へ僕は飛込、奈落に落ちる。


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