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黄昏の魔子  作者: 四季織姫


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17/27

ナーシャの茶会、ルナとの時間

 あれから、一月が経とうとしていた頃、ある日僕とルナがとある場所に呼び出された。

 そこはアナスタシア・セシルの私室であった。

 そう、僕らは今日魔女の茶会が行われる。

 最初にルナの方が呼び出された。

 一時間のほどの時間が経過した頃、入室していたルナが部屋から出てきた。

 何を話していたのだろうか?

 出てきたルナに話しかける。

「どうだった?ナーシャとの茶会は。」

「どうと言われてもただ話していただけだよ。そんなに固くなることはないんじゃないかな。」

「そっか。じゃあ、普通で行くか。」

 そう言って、僕はやけに重く感じる木造の扉を押し開けた。


 これはルナが部屋に入ったばかりの頃。

「久しぶりね。ルナ・ホワイトちゃん。私のことは覚えているかな?」

「もちろんです。覚えておりますよ。お久しぶりですね。ナーシャさん。」

「それは何よりだ。」

「それでお茶会って何をするんですか?」

 当然の疑問である。

 初めての魔女との茶会であるのだから、不安に思うのも仕方がないのである。

 ナーシャはニヤッと口角を上げ、声にする。

「名の通りだ。ただただ、お茶を飲んでおしゃべりをするだけだ。なんてことはない、リラックスリラックス。」

 突然の発言とその内容にルナは驚きを隠せない。

「そんなことでいいのですか?ここは星を与えるための茶会であるはずですよね。もっと試練的なものがあるのではないのですか?」

「ないね、ここに呼ばれた時点で大抵の人間はその実力を認められている。あとは少ししゃべってみて気の合う子かどうかを確認するくらいかな。」

 まさかまさかの話である。

 魔女の茶会がこんなにも単純というか、意外なものだったとは。

 この事実にルナもドン引きである。

「まぁまぁ、とりあえず座ったらどうかな。ずっと立ちっぱなしというのもなんだしね。話はそれからにしようよ。」

「わかりました。」

 そう言って、ルナは目の前の椅子に座る。

「さて、これから何を話そうか?」

「できたら、ナーシャさんの方からお聞きいただけると助かります。」

「じゃあ、最初に学園は楽しいかい?」

「楽しいです。祈里君とか、みんなと一緒にいる学園はとても楽しいですよ。」

「初世祈里か、あの子はねぇ。」

「どうかしたんですか?祈里君に何かあったんですか?」

「いや、そんなことはないよ。ちょっとしたことさ。なんてことはないよ。」

 ルナは怪訝な顔をする。

 それに対して、ナーシャは楽しそうに笑っている。

 そこには異様な雰囲気が流れていた。

「まぁまぁ、とりあえず次の話題に行こうか。」

「ふう、はい。そうですね。」

「そうだねぇ、次はそうだ、その祈里君とは仲がいいのかい?」

「仲はいいですが、それがどうかしましたか?」

「いや何、アリスからよく彼の話を聞くのでね、少し興味があってね。」

 そこでもう一度、ルナは不可解なことでもあったかのような顔をする。

「そうですか、まぁいいです。」

「あれあれ、ボーイフレンドのこと、探られて怒っちゃった?」

「そんなことありません!祈里君は全然そんな関係じゃありません。」

「そうかい、ま、どっちでも私は構わないけどね。」

 ルナはムスッと頬を膨らませている。

 ナーシャはそんな彼女のことは可愛いだなんて考えていた。

 原因は自分にあるというのに。

「じゃあ、これで最後にしようかな。」

「本当に短かったですね。」

「そうだね、最後の質問はそうだな、君は魔術師だったよね。」

「そうですね。一応、魔術の勉強をしています。」

「じゃあ、もっと強くなりたいとか思ったことはないかな。」

 その言葉にルナは深く考える。

「まぁ、君は魔術演舞祭の優勝者、一年の中じゃ最強なのかもしれないけど、でもこういうことを考えたことはあるんじゃないかな?」

「そもそもの話をさせてください。私はこの一年の最強ではありません。最強は祈里君です。」

「ほう、そう考えるわけは?」

「魔法演舞祭の試合では彼は私に対して手加減をしていました。実際、御業を使っていなかったので。」

「合格だ。」

「合格とは?」

「さっき言っていた強くなる資質があるという話だよ。それで?どうする?強くなりたいかい?」

「それは、はい、強くなりたいです。」

 ルナは深く頷く。

 彼女の決意は固いようだ。

「じゃあ、こっちへおいで。」

 ルナはその言葉に従い、立ち上がってナーシャの方へ歩き出す。

 ナーシャの元まで辿り着くと、今度はナーシャが立ち上がった。

「少ししゃがんでくれるかな?」

 ルナは今度も言葉に従う。

 すると、ナーシャは彼女の額に指を置く。

 それから、ルナの額、ナーシャの指先から光が溢れ出す。

 少しして、ナーシャの指がルナの額から離れる。

「さっきのは一体?」

「今ね、君にとある術式を施したのだよ。」

「術式?」

「そう、術式だよ。君が魔術を使用するときに体内の魔力を圧縮して放てるようにする術式さ。」

「魔力を圧縮。それにどんな意味があるのですか?」

「単純なことさ、魔法や魔術とはその術式に含まれる魔力の量によってその出力が変わってくる。」

「でも、それなら魔力をたくさん込めるだけでいいのでは?」

 普通はそう考えるだろう。

 だが、魔法や魔術は違うようだ。

「魔法や魔術はそこに込められる魔力の容量がある。コップなどの器を想像してみてほしい。そこにより多くの魔力を込めるには圧縮して入れるのが効率的だという話であるのだが、わかるかな?」

「まぁ、なんとなく?ですかね。」

「じゃあ、一発打ってみるといい。ここにはかなり強力な結界が貼られているからね。」

 ルナはナーシャの言葉に従い、魔術を放つ。

 壁に向けられて放たれた魔術は接触した瞬間破裂し結界に小さなヒビが入った。

 ルナの隣でナーシャが呆けた顔をしている。

「嘘でしょ、私の結界だよ。そんな簡単に破れるはずがないのだけど。」

「うそー、もしかして私、ナーシャさんに勝ててしまいますか?」

「調子に乗らないの。こんなのは貼り直したらいいのだから、全然私には追いつけてないよ。」

「うう、残念です。」

「はいはい、これからも頑張りなさい。じゃあ、今日はこの辺にしようか。今日は合格だ。星は後日贈呈されることだろう。バイバイ、ルナちゃん。」

「はい、さようならです。ナーシャさん。」

 そう言って、ルナは扉を開け、外に出る。

 次の少年に対しての応援を心の中で叫びながら。

 そう、これから起こることも知らないのに。


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