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復活

 とある街の公園。

 街灯の下、一人の少年が腹に手を当てて倒れていた。

 その少年の腹部では手の隙間から地面のレンガが見えている。

 腹部から、レンガの隙間へと赤い水が流れ込む。

 霞む少年の意識のふちで甲高いヒールの足音が近づいてくる。

 その音が彼の隣にやってきたところで少年の意識は暗い夜の中へと消えていった。


 ある夢を見た。

 そこでは僕はみんなの前に出て戦っている。

 すでに僕の後ろには傷つき、血を流している友人たちがいる。

 僕の心は怒りに燃えていた。

 あたりは僕の炎によって焼き尽くされている。

 あらゆる魔物たちは魂もろとも灰と化している。

 もうすでに僕は僕自身を止める術を持たない。

 それほどまでに僕の心は深淵にまで沈んでいる。

 僕の眼前には一人の人の姿をした何かが立っている。

 僕はそれに炎を届かせようと手を伸ばす。

 そこで僕の夢は終わりを告げた。


 次に僕が目を覚ますとそこは暖かな部屋、柔らかい布団の上だった。

 ここがどこなのか見慣れぬ部屋に視界を彷徨わせていると、その端で扉が音を立てて開いた。

「あら、目が覚めたのね。こんにちは、というよりはおはようの方がいいのかしら?」

 扉から姿を現した女性がそのように言葉を口にする。

「もう、起き上がっちゃったのね。あんまり体に無理を強いてはだめよ。傷をふさいだとはいえ、お腹に風穴が空いていたのだから、また傷口が開いてしまうわよ。」

 あ、はい、なんていうひどい返事をしながら、お腹に手を当ててみると肌とは違った手触りを感じた。

 見てみるとお腹には真っ白い包帯が巻かれており、最後の記憶の中にあった風穴はふさがっていた。

「あ、あの。あなたは一体どなたですか。助けていただいたのはわかるんですけど。」

「私かい?私はね、なんて言おうか。」言いにくい名前なんてあるのだろうか、なんて思ったが人にはそれぞれ秘密を持っているものかと考え、その思考をやめる。

「うん、そうだね。私は黄昏だ。ちなみに魔女と呼ばれている。君はママと呼んでくれてもいいぞ」

「ま、魔女ですか。絵本みたいですね。」

「絵本とはずいぶんメルヘンだね。それにふつう魔女と呼ばれても信じないと思うのだがね。」

 そう言われてみれば確かにそうだ。でも、

「あの傷が痕も残らず治っていますからね、それでなんとなく不思議なことでも信じられるのだと思います。」

「なるほどね。」

「それと、」

「それと何だい?」

「私は、どうして、どうやって助けられたのですか?」

「それに答えるよりも先に言いたいのだが、それが元からならいいのだけど私なんてかしこまらなくてもいいよ。」

「あ、すみません。ありがとうございます。」

 とはいえ、どう見ても年上の女性だし、こちらも硬くなってしまう。

「まだ硬いがまぁいいか。それでどうして、どうやってだったか?まず、どうしてだが単純に同情したのと顔がタイプだったからだね。あんな寒い中、腹に穴開けて寝ていたら、気にもなるよ。それで、どうやってかだが、まず君の体には血が足りていなかったから、輸血をした。私は魔女だといっただろう。私の血は特別製でね。人間としての生命力ともいえる自動治癒能力を格段に上げるんだ。それプラス、私の魔法でね。お腹の傷をちゃちゃっと治させてもらった。」

 ずいぶん難しい話を長々とされてしまった。とりあえず、

「魔法ですか、そんなものがあるのですか?」

「ああ、ある。現代社会ではすでに忘れ去られた技術だがね。魔法使いのための街があるくらいだ。ちなみに私の血を取り入れた君もすでに魔法が使えるようになっている。」

「へー、魔法が。って、魔法が使えるのですか?」

 なんてことだ。そんな夢みたいなことがあり得るのだろうか。

「ああ、というか私は君に魔法使いの学校。魔法学園に通ってもらおうと思っている。」

「ええ、黄昏さん。」「ノン、ノン。ママと呼びたまえ。」

「っ、ママ。魔法学園ってなぜにそこへ通わなければいけないのですか?」

「一番は目が行き届く場所だからだ。」

「私のことをちゃんと見守ることができるってことですか?」

「ああ。」

「それはなぜ?」

「何を隠そう、私が理事会の一人だからだよ。」

「理事会?」

「ああ、君の行く魔法学園は七人の魔女によって管理されている。まぁ、詳しいことは入学が決まってから話すことにするよ。」

 七人も魔女がいるのか。何かになぞられているのだろうか。

「わかりました。まぁ、僕には家族もいませんし帰る場所もありませんから。」

「うん、だから私の家に住むといい。これでも、私は家事全般できるし有能だぞ、自分で言うのもなんだがな。」

「それでは、これからよろしくお願いします。」

 そんなこんなで僕は魔女に拾われて新たな人生を歩むことになるのだった。


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