私のエッセイ~第百九十七弾:「なんたら塾」~ 第五夜:『ブラックホール』についての簡単な小噺
【ブラックホールと、そこでの「時の経過」の関係について、簡単に解説してください。】
お答えしますね。
重力場『G』の大きな空間では、時間の経過は遅くなります。
『G』が我々の常識を超えてどんどん大きくなっていきますと・・・
時間はますます遅く進み、しまいには、時の経過が『ゼロ』になってしまいます。
似たような現象に、『絶対零度』があります。
これは、物体の温度をどんどん下げていくと、摂氏 −273.15 °Cで、原子の動きが止まってしまうという、『古典力学』における現象に似ていますね。
(厳密には、『量子力学』の世界では、原子はちゃんと「零点震動」して、動いておるのですが・・・。)
質量が、地球の28倍程度の太陽の重力ごときでは、時空間は、ほんのわずかだけ曲がっているのにすぎず、とても『時間が停止する』までにはいたりません。
時間経過が『零』・・・つまり『ゼロ』だということは、そこから『光』が外部へ出られないほどに時空間が曲がっている、ということを意味します。
当然、そのような時空間は、極度に曲がっており、地球時間は普通に経過していくのに、そういった強い重力場における時間の経過というものは、地球の立場から『相対的に見れば』、ゼロになります。
・・・時が止まってしまうのです!
このような大きな重力場を作る天体が、いわゆる『ブラックホール』です。
そこからは、光も電波も、もちろん、他の普通の物体も、一切やってきません。
・・・何の情報も、私たちに届くことはありません。
仮に、地球程度の質量を持った天体があったとしましたら・・・
これを圧縮して、半径9ミリの玉にしなければ、ブラックホールにはなりません。
太陽の場合、ブラックホールになりたかったら、半径3キロメートルにまで圧縮しないと、ブラックホールにはなれないのです。
この、いわば天体がブラックホールになるのに必要な半径のことを、『シュバルツシルトの半径』、もしくは、『シュバルツシルト半径』と呼び・・・
さらにこの半径で取り囲まれた球面を、『事象の地平線』と呼びます。
この地平線の内部の範囲が、皆さんもよく知る『ブラックホール』です。
もっと正確にいえば・・・
中心に『ブラックホール本体』があり、そのブラックホールを中心に、その強力な重力の及ぶ限界点(限界面といったほうがいいですね)が、前述の『事象の地平線』であり、その重力の及ぶ範囲内が、『ブラックホール』と呼ばれるものです。
以下、最後に紹介する「定義」によりますと・・・どうやら、この『シュバルツシルトの半径』と『事象の地平線』が完全に一致するケースもあるようですね♪
この『事象の地平線』より先に一歩でも足を踏み入れてしまったものは・・・
たとえ、光でさえ、脱出することは不可能となります。
一度ブラックホールの重力圏に捕らえられた宇宙船は・・・
「ブラックホール本体の中心部」に向かって、真っ暗な奈落の底へ、どこまでも落っこちていって・・・ゆっくりと『飴』のように引き伸ばされて、バラバラに引き裂かれて・・・やがて、『ジ・エンド』となります。
しかしながら、外部からその落ちてゆく宇宙船を見た場合、完全に「止まって」見えてしまうのです・・・不思議なことですが。
参考記事からの引用です♪
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【ブラックホールの手前では時間が止まる】
『ブラックホールにロケットが吸い込まれるとどうなるでしょう。一般相対性理論によるとちょっと変な現象が起こります。
吸い込まれているロケットを外から見ている人からはロケットがブラックホールに吸い込まれていくにしたがって徐々にスピードが落ちてゆき、シュバルツシルト半径(事象の地平線)といわれるブラックホールの手前までくるとロケットは永遠といえるほど長い間、止まって見えるのです。
しかし、実際にロケットに乗っている人にとっては様子が違います。急速にブラックホールに吸い込まれていっているのです。
なぜ、このようなことが起こるのか?
一般相対性理論では、「強い重力が働くと時間が遅れる」とされています。ブラックホールは非常に強い重力を持っていますので外から見ている人からはロケットのスピードが遅れるどころか止まっているように見えるわけです。
では、ブラックホールの手前で止まっているように見えるロケット。乗っている人は、吸い込まれずにギリギリセーフなのか?実は、違います。
事象の地平線を越えたロケットはまるでスパゲッティのように引き延ばされていきます。これは、ロケットの先端と後方では重力に大きな違いができてしまうからです。そして、最後にはバラバラに引きちぎってしまうといわれています。
(※)上記の、こんなわかりやすい、刺激的な記事をUPしてくださった作者様・・・本当に感謝申し上げております。
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以下、ウィキペディアの定義より。
『球対称・真空でのブラックホール解を表すシュヴァルツシルトの解では、事象の地平面がシュヴァルツシルト半径と一致する。そのため事象の地平面をシュヴァルツシルト面と言うことがある。地球のシュヴァルツシルト半径は約9mmである。また、我々の銀河(天の川銀河)のそれは太陽系の大きさのおよそ30個分である。』
(※)『事象の地平線』=『事象の地平面』=『シュバルツシルト面』です。
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